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2001/09/21

<韓国文化>韓国女性映像作家を特集

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    恋愛・結婚にチャレンジする身体障害者の姉妹を描いた『パンジーと蔦』

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    韓国系ロシア人2世の芸術家シン・スンナムの生涯をテーマにした『空色の故郷』

 「山形国際ドキュメンタリー映画祭2001」が、10月3日から9日まで山形市内の各映画館で開催される。同映画祭では特別企画として、アジアの新進映像作家を紹介する「アジア千波万波」を上映、韓国の女性映像作家の作品が紹介される。

 アジアの新進作家を紹介する「アジア千波万波」には、アジア各国から536本が応募、その中から42本が選ばれた。

 韓国からは環境問題、障害者問題、自己のアイデンティティーを見つめた作品など30本が応募、そのうち7本が選ばれた。すべて女性作家の作品で、韓国のドキュメンタリー映画分野に女性が多数進出していることをうかがわせる。

 『村の新しい一歩』(ホン・ヒョンスク監督)は、村人全員が農業を営むドゥーミーリー村での地元小学校閉鎖に反対する運動と、要請が棄却され運動が沈静化した後の村人の生活のようすが描かれる。

 『別れ』(ファン・ユン監督)は、動物園でボランティアをする女性が子トラを育てる過程を通して、人間と野生動物の共生を考える。

 『パンジーと鳶』は30代の身体障害者の姉妹が、他の女性と同じように恋愛、セックス、結婚をして子供を産みたいと願い奮闘する姿を通して、障害者に対する偏見が残る社会を明らかにし、障害者の存在を身近に感じさせる。

 『空色の故郷』(金ソヨン監督)は、韓国系ロシア人2世の芸術家シン・スンナムの物語と絵を通して、1937年のスターリンによる強制移住の悲劇を再現する。
 
 『居留―南の女』(ソハ監督)は、夫が北に亡命したために苦労を余儀なくされた監督の祖母、映画監督を夢見る若い女性など、年齢も経歴もさまざまな女性たちへのインタビューを通して、儒教的父権制度の圧迫の中で女性たちが作り出してきた空間を表現する。

 『夢の中で』『愛についての実話』(イ・キュジュン・メリッサ監督)は、韓国戦争後にオーストラリアに新天地を求めた両親とその娘の確執と和解を描いた作品。監督から両親への和解のラヴレターであるが、そこから「コリアン」であり「オーストラリアン」である作者の素顔も見えてくる。

 同企画コーディネーターの藤岡朝子さんは「これまでは社会変革をテーマにした作品が多かったが、最近では企画も国際性豊かになり、質の高い作品が増えた。隣国の女性映像作家が何に取り組んでいるか、知ってもらいたい」と話す。

 同映画は「山形国際ドキュメンタリー映画祭2001 アジア千波万波トウキョウスペシャル」と題して、10月10日から19日まで東京・渋谷のアップリンク・ファクトリーでも上映される。

 『パンジーと鳶』『別れ』など5作品に、在日韓国人問題をテーマにした『ていちゃんのルーツ』など3作品を併映。ソハ監督、メリッサ・リー監督のトークもあり。詳細は℡03・5489・0750(アップリンク・ファクトリー)。