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2001/02/23

<韓国文化>韓国漢方を使った花粉症治療

 花粉症の季節がやってきた。今年のスギ花粉は、昨年を上回る飛散量と予測されており、注意が必要だ。東洋医学会会員で小児科医の広田曄子・曄(あき)小児科内科・院長に、韓国漢方を使った花粉症治療について寄稿してもらった。

 花粉症の季節になりました。去年の夏は暑かったため、今年も花粉が沢山飛ぶとのことですので、暖かくなると共に、くしゃみ、鼻水、目のかゆみを訴える方が増えることと思います。外出する際にはマスクをしたり眼鏡をかけたりいたしましょう。また、症状の出る前に治療薬を服用開始することが、ひどくならないこつです。

 花粉症のはじまる1週間ほど前から、抗アレルギー剤や漢方薬を服用し始めます。花粉症が発症してひどくなってしまうと、次第にアレルギーがエスカレートして鼻粘膜やのどが腫れてひどい鼻閉になったり、目の周囲も腫れて赤くなったりしてしまいます。

 漢方薬は副作用も少ないので、前もって服用するには適しております。一般的には小青竜湯、葛根湯、麻黄附子細辛湯、荊艾連翹湯、辛夷清肺湯などといった方剤を用いますが、漢方を服用する時は、自分の体質や症状に合った漢方剤を選ばなければなりません。

 たとえば、鼻汁が多く、くしゃみが頻発するような場合には小青竜湯や麻黄附子細辛湯がよいでしょう。

 目がかゆく、まっ赤になったり、鼻の粘膜なども赤い場合には、荊艾連翹湯のような熱をさます方剤が有効です。

 鼻閉には辛夷清肺湯が適用されます。
 しかし、こうして単純で症状に合わせて方剤を選ぶだけでは重症の花粉症には間に合いません。そこで、韓国伝統医学である四象医学による治療を加えると、著効がみられます。

 四象医学によると、人類は四つの体質に分けられるといいます。太陰人、太陽人、小陰人、小陽人の4つです。このうちの太陰人というのは、呼吸器系の弱いタイプで、人類の80%はこれに属するといわれます。

 花粉症も呼吸器系が主に障害されますから、太陰人に多い疾患です。四象医学では、4つのタイプそれぞれで用いられるべき薬物が違います。たとえば、人参は太陰人には合わないとされて用いられません。太陰人に合った薬物のみで出来ている太陰人のための方剤が太陰調胃湯です。この方剤には体内の余分な水分を排除する麻黄やヨクイ仁が入っており、また、莢フク(だいこんの種)の消化をよくして化疾する作用、石菖根の逐痰キョ獨作用、五味子の収斂作用が期得できます。

 その他、身体を潤しながら余分な水分をとる麦門冬や、桔梗、乾栗が入っております。これらは全て肺経に作用する薬物であり、呼吸器系を強くします。

 また、湿をとる作用がかなり強いので、鼻粘膜の浮腫をとり、鼻閉に非常に有効です。体質改善薬なので、身体がひきしまり、他のアレルギー疾患などの病気にも有効です。

 この太陰調胃湯で体質改善しながら他の方剤も用いると更に有効です。自分が太陰人かどうかを見分ける表を次に掲載しますので、参考にして下さい。