ここから本文です

2003/07/11

<韓国文化>ぴあフィルムフェスティバル 韓国映画の「現在」を映す

  • bunka_030711.jpg

    フジテレビのドキュメンタリー番組「NONFIX」から「在日親子~日本で生きるということ」など秀作8本が上映される

 若手映画人の育成・発掘を目指した「ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」が、12日から25日まで、東京・日比谷のシャンテシネ2で開催される。最近の韓国映画ブームにちなみ、韓国の人気映画監督の韓国映画アカデミー時代の作品を紹介する「韓国人気監督のファーストステップ 韓国映画興隆の原点」が上映される。また「発見!テレビからの新作家~NONFIXトーク~」でも、在日コリアンの家庭を撮り続けたドキュメントが紹介される。

 エンタテインメント産業の大手「ぴあ」が、上映機会の少ない新人映画監督の作品を紹介するぴあフィルムフェスティバルを始めたのは、1977年12月。東映大泉撮影所で開催された「ぴあ展」での「自主製作映画展」が最初である。

 以来、自主製作映画を対象とした世界初の本格的なコンペティションをメインプログラムとした映画祭として、また新しい才能の発掘と育成を目指す活動として運営を続けている。
 そして今年、第25回目の開催を記念して特別企画として行われるのが、韓国若手人気監督の韓国映画アカデミー時代の在学時代の作品を紹介する「韓国人気監督のファーストステップ 韓国映画興隆の原点」だ。

 韓国映画アカデミーは韓国政府設立の映画学校で、これまで韓国映画の活況を支える多くの人気監督を輩出している。

 今回上映されるのは、『おばあちゃんの家』が日本でもヒットした女性監督、李廷香さんの『僕の名前はサンウ』、『殺人の追憶』が韓国でヒット中のポン・ジュノ監督の『支離滅裂』、『春の日は過ぎゆく』の許秦豪監督の『コチョルのために』、それに2002年と2003年の有望学生作品など計19本。韓国映画アカデミーの作品をこれだけまとめて紹介するのは初めての試みで、韓国の若手映画監督の力量を理解できる。

 また「発見!テレビからの新作家~NONFIXトーク~ここにも才能あり!」は、日本のフジテレビの深夜ドキュメンタリー番組「NONFIX」の作品群から秀作8本を上映する企画。そのうち3本が在日コリアンをテーマにした「在日親子~日本で生きるということ」「在日親子~俺たち在日3世、旅立ちの時~」「在日ボクサー徳山昌守-KOREA Is One」である。「在日親子…」は、川崎市に住む在日2世の父母とその子どもたちの姿を通して、家族のあり方、在日の未来を追った作品。「在日ボクサー…」は、ボクシング世界チャンピオンの在日3世、洪昌守(徳山昌守)の闘う姿を活写した作品だ。

 ◆ 荒木啓子PFFディレクターの話

 いま世界でもっとも注目されている韓国映画界の将来を担う人材の作品なので、とても興味深く見てもらえると思う。人気監督の学生時代の作品を見て、最近の作品と見比べてもらうのも面白いし、現役学生の作品から将来有望な監督を見出すのも楽しいだろう。

 韓国映画界はとても元気で、映画人と話をしていてもすごい情熱を感じる。そういう情熱も、映画から感じ取ってほしい。

 テレビドキュメンタリーの「NONFIX」は、比較的自由に製作できる番組。今回は若手ディレクターの作品を中心に選んだ。「在日家族」を撮った井ノ川泉さんの場合、彼女が在日家族を追いながら、彼女自身も変化していく過程が伝わる。洪昌守はとても個性的なチャンピオンで、素材自体が魅力的だ。今回の2つの企画が、韓日映画交流の一助になればとも願っている。

◆ ぴあフィルムフェスティバル◆

日時:7月12日~25日
場所:東京・日比谷シャンテシネ2
料金:前売1,200円、当日1,400円。
℡03・3591・1511(シャンテシネ)