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2007/01/01

<韓国文化>佐々木直子先生の韓国正月料理

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 韓国のお正月は、盆と並ぶ大きな名節(節句・年中行事)のひとつとして、何日も前からたくさんのご馳走を準備し、家族親戚が集まって盛大に祝います。

 韓国語ではお正月を「ソル」または「ソルラル」と、正月料理を「ソル飲食」といいます。韓国では多くの名節を陰暦で迎える風習があり、お正月も、陽暦の正月(新正)より陰暦の正月(旧正)で祝うのが一般的です。ちなみに、2007年の旧正は2月18日です。

 ソル飲食は家により、地方によりさまざまですが、まず欠かせないものにトックッがあります。トックッは直訳すると「餅スープ」。小判型の白餅をスープで煮た、韓国式のお雑煮です。

 白餅を使ったソル飲食には、また次のようなものもあります。トッポッキは、棒切りにした白餅を野菜や肉と一緒に炒めたもの。韓国街角の屋台で売っている、真っ赤で甘辛いトッポッキとはかなりちがう料理です。それから、棒餅や野菜を五色とりあわせて串に刺したトッサンジョッ、餅を肉や野菜とともに煮込んだトッチム、餅と色とりどりの野菜を細切りにして炒め合わせたトッチャプチェ。

 餅以外のソル飲食では、次のようなものがよく作られます。

 片肉(ピョニュク)=茹で肉の薄切り、プッチムまたは煎(ジョン)=衣をつけて油で焼いたお焼き、雑菜(チャプチェ)=春雨と五色野菜の炒め和え、九折板(クジョルパン)=八色野菜の薄皮包み、カルビチム(骨つきカルビのうま煮)、薬食(ヤッシッ)=木の実入りおこわ、水晶果(スジョングァ)=干柿のシロップ漬け。

 そして、さらにいく種類ものキムチやナムル、果物が、所狭しとお膳に並びます。

 ソル飲食といえばトックッですが、今回は趣向をかえて、前述の餅炒め「トッポッキ」を一品ご紹介します。トッポッキには細長い棒餅をよく使いますが、トックッ用の小判型餅でも同様に作ることができます。

◇トッポッキ(餅と五色野菜の炒めもの)◇

<材 料>(4人分)

・韓国の白餅(トッポッキ用またはトックッ用)400㌘
・牛薄切り肉       100㌘
・干し椎茸        3枚
・きくらげ         5㌘
・玉ねぎ        小1個
・にんじん       1/2本
・赤ピーマン      1個
・青ねぎ(またはにら) 1/2束
・松の実        大さじ1

A しょうゆ      大さじ2
  酒         大さじ1
  砂糖        大さじ1
  おろしにんにく   少々

・すりごま       少々
・ごま油        適量
・塩、こしょう     各少々

<作り方>

①トッポッキ用の棒餅は1切れずつ切り離し、長ければ一口大に切る。トックッ用の餅なら、一枚ずつはがす。

②牛肉は一口大に切り、干し椎茸はぬるま湯でもどしてそぎ切りにする。きくらげもぬるま湯でもどし、一口大に切る。調味料Aを混ぜ合わせて半分を牛肉にかけ、残りのうち大さじ1だけ干し椎茸にかけて、それぞれ下味をつける。

③にんじんは短冊切りにしてサッと茹でる。玉ねぎは半分に切ってから薄切りに、赤ピーマンは細切りに、青ねぎは4~5㌢に切る。

④フライパンを熱してごま油をひき、玉ねぎ、赤ピーマン、きくらげを別々に炒める。塩、こしょうをふって炒めたら、器にとり出す。

⑤フライパンにごま油を足して牛肉を炒め、椎茸も入れて炒めた後、餅、調味料Aの残り、水1/2カップを入れて中火で炒め煮する。餅が柔らかくなり煮汁がなくなったら④とにら、松の実を入れ、照りよく全体を炒め合わせる。味をみて、薄ければ塩を補う。


  ささき・なおこ 東京外国語大学朝鮮語科卒。「KOREAN COOKINGジョン・キョンファスタジオ」勤務を経て現在、フリーで韓国料理に関する翻訳・執筆を行う。訳書に『韓国料理文化史』(平凡社・共訳)、『わが家で作れる! 韓国おなじみ
レシピ』(小学館)。