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2008/04/04

<韓国文化>隣国への素直な思い伝わる

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              明誠高等学校2年 豊田 亜由子さん

 韓国観光公社主催の「2007韓国修学旅行感想文・写真コンクール」の結果が、このほど発表された。感想文特賞の「韓国研修旅行を終えて」を紹介する。

◇特賞 韓国研修旅行を終えて 明誠高等学校2年 豊田 亜由子さん◇

 私は十月三日から四泊五日の日程で韓国研修旅行に行きました。韓国へ行くにあたり様々な事前準備はしていましたが、やはり言葉の通じない異国だということに少し不安もありました。しかし、実際に韓国の文化に触れてみると、そこには私達日本人に近い部分と遠い部分とが共存しており、大変興味深い国でした。

 まず一番最初に文化の違いを感じたのはトイレです。初めて韓国のトイレに入ると、見慣れない赤いボタンがありました。「なんだろう?」と思い恐る恐る押してみると、洋式トイレの便座部分にビニールシートがかぶせてあり、そのシートが新しいものと入れ替わる仕組みになっていました。日本では見かけない機能だったので驚きましたが、そんな小さな違いでも私たちにとってはとても新鮮で、使用者のことを考えた工夫に感動すら覚えました。

 そしてもっとも私たちが学ぶべきだと感じた違いは、韓国の人々が持つ「積極性」です。これは、研修旅行中常に目にする場面がありました。例えば、私達が韓国の街を歩けば写真撮影を求めて話しかけてきたり、何かわからないことがあればすぐ誰かに聞いたりという行動です。日本と比較して考えると、韓国という国は人と人の間に壁がなく、日本人はその逆のことをやっているのではないかと思いました。近年、日本では子供の学力低下が問題視されていますが、もしかしたらここにも「積極性」のなさが影響しているかもしれません。「学びたい」、「知りたい」という意欲がかけているのです。それに比べ韓国では、すれ違う知らない人にでも気軽に話しかけられるような環境があります。つまりコミュニティを一人一人が大切にしています。こうして韓国のよさを知ることができ、韓国の街からたくさんのヒントを与えてもらったことで、この研修旅行に参加してよかったと感じました。

 研修旅行三日目には、韓国の高校生と文化交流をしました。同世代とはいえ、言葉が通じないということは大きな壁になってしまうのではないかと心配でしたが、交流が始まってみるとそれは無駄な心配になりました。交流内容は、お互いの国の文化などを披露しあい友好を深めるというものでした。先に韓国の高校、その後に私達という発表の順番でしたが、前半からとにかく予想以上に盛り上がったので驚きました。韓国の高校生も私達と同じように興奮していて、簡単な英語やジェスチャーでお互いに気持ちを伝え合いました。そうやってやりとりをしていると、言葉は違ってもやっぱり私たちと同じ普通の高校生なんだと感じ、韓国という国が私の中で身近な存在になって気がしました。

 そして私は日本の文化としてよさこい踊りを踊りました。日本で何度も一緒にやるメンバーと練習を重ねて本番にのぞみましたが、韓国の人達の暖かい拍手と声援のおかげで本当に最高の舞台にすることができました。踊っている間に客席を見わたすと、日本人と韓国人が一緒になって笑っている光景がそこにはありました。言葉は分からなくても、お互いのことをそんなに知らなくても、こんなに気持ちは伝わるんだと思うと、本当に充実感と達成感でいっぱいになりました。

 今、韓国と日本は確実に心の距離を縮めています。そして今回、本当の意味で私たちは文化交流をしました。お互いの文化を知るだけで国は越えられるということが証明できたと私は思っています。この研修旅行を通じて学んだたくさんの宝物を、私たちは自分の手でみがき、一生の財産にするべきです。そしていつか、日本と韓国が堂々と手をつなげる日が来ることを願っています。 (とよた・あゆこ)