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2009/11/06

<韓国文化>韓国仏教美術の真髄

  • 韓国仏教美術の真髄①

       現王図(朝鮮王時代)=東國大學校博物館

  • 韓国仏教美術の真髄②

    阿弥陀三尊像(高麗時代)=東國大學校博物館

  • 韓国仏教美術の真髄③

         如来立像(三国~統一新羅時代)=東國大學校博物館

 大谷大学博物館(京都市北区)で、「祈りと造形 韓国仏教美術の名品」が開かれている。「三国時代―統一新羅時代」「高麗時代」「朝鮮時代」の三つの時代に区分し、韓国の東國大學校博物館所蔵品に日本国内の作品を加えて絵画・彫刻・書跡を中心に紹介している。大谷大学が東國大學校博物館と締結した「博物館交流協定」に基づく交流事業だ。

 韓国の代表的仏教宗団大学である東國大學校と、やはり日本における仏教大学としての長い歴史と伝統を誇る大谷大学は「仏教」という共通した精神文化を媒介に2001年12月4日、教育および学術面での交流を促進する協定を結んだ。この協定にもとづき07年10月1日に両校博物館は「博物館交流に関する協定」を締結し、その交流事業の最初の成果が、今回の大谷大学博物館2009年特別展という形で実を結ぶに至った。

 「祈りと造形―韓国仏教美術の名品」という主題のもと開催される今回の特別展は、日本に所在するさまざまな韓国仏教美術の名品と大谷大学博物館の名品の数々、そして韓国東國大學校博物館と同図書館から出品された貴重な遺物を一堂に紹介するものであり、緊密であった日韓両国の仏教文化を一望のもとにできる貴重な機会である。

 韓国では早くから中国を通じて仏教が伝来したが、韓国の仏教文化は三国時代以降、仏像、塔、工芸、絵画の各分野にいたるまで、多様かつ総合的な造形言語によって燦然たる花を咲かせた。特に百済から日本へと伝来した仏教文化が、まさに日本の飛鳥文化の根幹をなしたということはよく知られている。その後も緊密に交流しながら、両国は東アジアの仏教において最も中心的な役割を果たしていった。したがって、日本の古代仏教および仏教文化を理解するためには、なによりも韓国の仏教文化の所産であるさまざまな祈りをもつ造形について見るのが近道であると思われる。

 今回の展示は韓国の大学博物館のなかでも最も古い伝統を誇り、仏教美術の名品を所蔵している東國大學校博物館の所蔵品のうち、仏像、仏画、仏教工芸品を厳選し出品することで、これまでのどの展覧会よりも水準の高い韓国仏教美術の名品を一望できるものとなっていると自負している。

 展示テーマからわかるように、三国時代、高麗、朝鮮時代を経て、長い歳月のなかで時代的様相をおびて制作された仏教絵画と合わせて多様な仏像の姿、そして韓国的な性格がよく出ている仏教工芸品などを通じて、インドを経て中国から韓国へ伝来した仏教文化がどのように変化発展していったのかを見ることができる。さらには韓国仏教美術の特性と日本の仏教美術との独特な性格をそれぞれ比較してみるのも興味深いことだと自負している。

 これまでなされてきた国立博物館同士の交流とは異なり、両国の大学博物館同士が初めて成し遂げた民間次元の文化学術交流という点においてより大きな意味をもつものであり、韓日両国の文化的理解をさらに深める素晴らしい契機となってくれるものと確信する。
(東國大學校博物館・崔應天、図録より)


■「祈りと造形」韓国仏教美術の名品■
日程:開催中(28日まで)
場所:大谷大学博物館(京都市北区)
料金:一般・大学生500円ほか
電話:075・411・8483
 *14日午後1時から同大学で記念講演「古代三国と倭」あり