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2011/01/14

<韓国文化>韓国料理の魅力を伝える

  • 韓国料理の魅力を伝える

    『食客2』主演のキム・ジョンウン㊨とチン・グ
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 韓国映画『食客2』が日本で公開中だ。韓国料理の魅力を世界に伝えるために作られた映画で、今回はキムチ対決がテーマとなっている。主演のキム・ジョンウン、チン・グ、そしてペク・ドンフン監督の話を紹介する。

◆母の思い感じてほしい ――キム・ジョンウン(ジャンウン役)◆

 私が演じたジャンウンは、非常に冷静で自信に満ちた、世界的なシェフだ。少しのミスも我慢できない性格で、時には冷酷な人に映るかもしれない。しかし彼女は非常に深い心の傷を持ち合わせている。本心を隠し、料理を通して心の傷に打ち勝とうとする。彼女にとって、料理とは心の傷と同様、彼女の一部になっている。

 世界的に有名なシェフを演じるので、調理器具にいたるすべてを自然に扱うことができるようにならなければいけなかった。フードコーディネーターから訓練を受けたが、手にはマメができるし、包丁で何度も手を切ってしまった。しかし、新しいプロフェッショナルの世界を知るとてもよい機会だった。今ではキムチを作るのに十分な技術を身につけ、母がとても驚いている。

 今回の役は、心の内にいろいろな感情を秘めて、それを外には決して出そうとしない人物だったので、一生懸命自分の感情を抑え、心の内を隠した演技をした。

 今回の撮影を通して、キムチが本当に系統立って作られ、そしてさまざまなストーリーを持っていることがわかった。

 私の祖母は3年前に他界したが、祖母のキムチが(母には申し訳ないが)最高だった。祖母の作り方で、同じ調味料を使っても、同じ味にはならなかった。最高のキムチ、最高の料理とは、どんなに焦がれても再び味わうことができない、でも思い出の中に確かに存在する、そんな料理のことだと思う。

 この作品は、キムチ大会を通して、家族のあり方や、母親の存在などを伝えている。映画を見終わった後、家に帰ってお母さんが作ったキムチと温かいご飯を食べて、母親の愛を感じてほしい。


◆愛情が最高のスパイス ――チン・グ(ソン・チャン役)◆

 ソン・チャンにとって、彼が人生で学んだ唯一かつ確実なものが料理だった。彼にとって料理とは、人々と交流できる言葉のようなものだ。すばらしい料理は、愛する人たちとの思い出を浮かび上がらせる。ソン・チャンは、そんな料理をつくることができる料理人だと思いつつ演じた。

 長い間一人暮らしをしているので、ある程度の料理はできた。しかしプロの料理は未知だったために、非常に苦労した。撮影の3カ月前から特訓し、フードコーディネーターに料理を教わった。今ではキムチまで作ることができる。

 この映画に出演したことで、母親が私を育ててくれたこと、そしてご飯を食べさせてくれたことに改めて感謝した。

 もし私が誰かのために料理をするとしたら、その人たちを思い、愛情を持って料理するだろう。その愛情こそが、最高のスパイスとなって料理の味を引き立てると思う。愛情こそ”最高の料理人”になるための必要不可欠な要素だ。

 この間、実家で韓国キャベツ(ヤンペチュ)でキムチを作った。母親とおしゃべりしながら作ったキムチは、今までで最高の味だった。そのときの母は、今まで見た中で一番幸せそうだった。この映画を通して、心に触れる“おいしさ”をぜひ味わってほしい。


◆家族をつなぐキムチ ――ペク・ドンフン監督◆

 前作の『食客』とTVドラマ版『食客』がヒットしていたので、映画を撮る前はプレッシャーを感じていた。そこで料理よりも、その料理にまつわるストーリーに重きをおいて作った。オリジナルの『食客』は料理を扱った作品として有名だが、私は、それぞれの料理にまつわるドラマやストーリーがより観客を引きつけるだろうと確信していた。本作では、料理は家族と母親をつなぐ橋渡しとして描いている。

 私の好きなキムチ料理の大半を、劇中で使用した。撮影を通じて食べる機会があったが、時間がなくきちんと味わうことができなかった。キムチの中にローストビーフやローストポークが入ったものや、キムチピザなどは、思い出しただけでもよだれが出てきそうだ。

 私が海外に住んでいるときに母親が作ってくれたキムチが、今までで最高のキムチだ。思い返してみるとその味はとても深いものだったのだと気づかされる。私はそれを少しだけ食べて、残りはもったいなくてしばらくとっておいたことを覚えている。

 私は、キムチが私たちに抱かせる郷愁の想いを描こうとした。この映画を観て、キムチにまつわる温かい物語を知って、家族のことを思い出してくれれば幸せだ。


■あらすじ■

 韓国政府は、アジアにおけるキムチ発祥国としての地位を確立すべく、「キムチ大会」を企画する。日本で成功を収めた女流シェフのジャンウンは、大会に参加するため韓国へ帰国。老舗レストラン「春陽閣」を営む母親や、姉弟同然に育ったソン・チャンとの10年ぶりの再会が、辛い幼少時代の記憶を呼び起こす。しかし大会でのキムチ作りを通して、次第に母親の想いを知る…。二人が見つけた極上のキムチレシピとは?それに込められた想いとは? 新宿K’s cinemaで上映中。