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2012/08/24

<韓国文化>話題の美術展~韓国内の美術館

  • 話題の美術展~韓国内の美術館①

    テレビモニターが収められたロボットが一つの風景を作り出している

  • 話題の美術展~韓国内の美術館②

        金志垠「Mass of Scaffolding」

  • 話題の美術展~韓国内の美術館③

    安奎哲氏の「不完全な飛行」は一人の男がオレンジ色の風船にぶら下がっている作品。作家の不安な心を表現した自画像

 ビデオアートの先駆者、故白南準氏の作品展など、韓国内で開催中の話題の美術展を紹介する。

◆白南準(ペク・ナムジュン)の前衛アート◆

 特別展「ノスタルジアはフィードバックの二乗」が、京畿道龍仁市の白南準アートセンターで開催中。

 故白南準氏(1932~2006)はビデオアートの先駆者。特別展は故・白南準氏の誕生80周年を記念したもので、一般的な回顧展でなく本人および国内外の美術家の作品をともに展示。故人の精神がどのような形で継承されているかを知ることができる。

 同展は、未来のビジョンを提示した作品で構成されている。

 1階には、ネオン、花、モニターで華々しく飾られたロボットがパノラマのような一つの風景を成している。人間、機械、自然の境界を区分するよりも、疎通と融合を追求した故人の精神が反映された。

 故人は科学技術の発展を作品に積極的に活かしたが、夢見たものは人間のための技術だった。2階には、威圧感のない人間的なロボットが集まっている。

 「ビデオは、時間を早送りしたり巻き戻すことができる。また、方向を逆にしたり、流れを曲げることもできる」とした故人は、アーティストであると同時に思想家として世界の見方の転換を提示した。来年1月20日まで開催。

 また白南準氏の追悼本が韓国で発売中。同時代を生きた友人の作家たちが思い出を語っている。

◆有望な若手作家紹介◆

 有望な若手美術家の作品を紹介する「アート・スペクトラム展」が、ソウルのサムスン・リウム美術館で開催中だ。

 若手作家の発掘プログラムであるアート・スペクトラム展は2001年に始まったが、06年の開催以来中断していた。今回は6年ぶりの開催だ。4度目を迎える今年のアート・スペクトラム展には、金雅暎(キム・アヨン)氏、金志垠(キム・ジウン)氏、裵チャニョ氏、オク・チョンホ氏、チャン・ボユン氏、チョン・ソジョン氏、崔ギチャン氏、韓ギョンウ氏の8人の美術家が参加した。

 金雅暎氏は130年前の英国海軍の巨文島占領事件をテーマにした映像作品を、チョン・ソジョン氏は綱渡り名人の人生を芸術家に例えた映像作品を公開。

 韓ギョンウ氏は錯視を誘導した映像作品を展示し、固定観念で世の中を見ることの限界を認識させる。崔ギチャン氏は、無作為に選ばれた人々が睨みあう映像によって世の不可解さを表現。

 金志垠氏の作品は、開発が繰り返される現状を工事現場の構造物で表現した。

 自身が写っている写真作品も目を引く。裵チャニョ氏は童話の主人公や歴史上の人物に扮装した写真を、オク・チョンホ氏は黒いスーツ姿でヨガの太陽礼拝のポーズをとる写真を公開した。9月16日まで。

◆重鎮美術家に焦点◆

 「2012hidden track」展が、ソウル市美術家で開催中。50~60代の美術家の重鎮に光を当てた展示会で、招聘キュレーターの金ソンウォン氏(国立ソウル科学技術大学教授)が企画した。

 hidden trackとは、レコードに新曲のほか未発表曲の一部や独特のサウンドを題名なしに収録することを意味する。この展示会は、美術家の代表作品や定形化された様式からの脱皮がみられる。

 今年は、盧尚均(ノ・サンギュン)、高樂範(コ・ナクボム)、呉亨根(オ・ヒョングン)、尹東天(ユン・ドンチョン)、尹永錫(ユン・ヨンソク)、陸根丙(ユク・クンビョン)、曺徳鉉(チョ・ドクヒョン)、崔民花(チェ・ミンファ)、洪明燮(ホン・ミョンソプ)、黄仁基(ファン・インギ)など19人の美術家が参加。絵画、写真、映像などの作品50余点が展示されている。

 文凡(ムン・ボム)氏は、古代の図書館アレクサンドリアで名前を取った設置作品「アレクサンドリアを離れ」を公開。人類の知識・知恵や思考体系から離れることを提案した作品だ。

 姜洪求(カン・ホング)氏の設置作品「引越し」は、過去32回の引越しを想起しながら空のダンボールで創作したもの。

 彫刻家・洪性都(ホン・ソンド)氏は、重量が少ない作品に挑戦。枕形の透明な軽い風船、綿棒やボールペンをさすことができる実用的な風船は、漫画のような想像力をかきたてる。

 安奎哲(アン・ギュチョル)氏の作品「不完全な飛行」も目を引く。中年男性が風船にぶらさがった設置作品で、人生の中盤期に押し寄せる不安をユーモラスに表現。26日まで。