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2012/12/14

<韓国文化>「高円宮記念日韓交流基金」第四回顕彰式典・日韓の"絆"さらなる広がりを

  • 「高円宮記念日韓交流基金」第四回顕彰式典・日韓の

                     高円宮妃殿下

  • 「高円宮記念日韓交流基金」第四回顕彰式典・日韓の

    (右から)早崎桂子団長、辛定夏会長、車玉秀名誉教授、大村豊副会長

  • 「高円宮記念日韓交流基金」第四回顕彰式典・日韓の

            渡邉 泰造・高円宮記念日韓交流基金理事長

  • 渡邉泰造・高円宮記念日韓交流基金理事長④

                  申 珏秀・駐日韓国大使

  • 「高円宮記念日韓交流基金」第四回顕彰式典・日韓の

                安藤 裕康・国際交流基金理事長

 高円宮記念日韓交流基金の第4回顕彰式が12日、東京・四谷の韓国文化院で行われ、日韓から高円宮賞4件が顕彰された。

◆「宮さまの意志受けついだ10年」 高円宮妃殿下のおことば◆

 早いもので今年、殿下がお隠れになりましてから10年を迎えましたが、2002年日韓共催のFIFAワールドカップ(W杯)の開会式のために初めて韓国を公式訪問してからも10年の歳月が経ちました。殿下は国と国の友好は人と人との交流が基本にあるというお考えをお持ちでした。両国間の友好関係向上のために役に立ちたいと、強くお考えでいらした殿下のご遺志を継ぐこの高円宮記念日韓交流基金は、皆様のご支援のおかげで活動が着実に成果を生みつつあると感じております。

 高円宮賞を差し上げる4件の交流事業は国際的視野を持った青少年の教育と育成、両国文化の踊りや音楽を通した交流、さらには体の不自由な方々の心温まるスポーツ交流など、いずれもボランティア精神を発揮した民間交流ならではの純粋でさわやかな活動です。

 国際交流とは、国や組織単位ではなく、その国や組織を形成する一人ひとりの人間が、一歩ずつ進めていくものです。国としての取る立場が、そのようなものであっても、日本、韓国両国民のためには、隣国同士信頼の絆が強いにこしたことはありません。日本と韓国とは、それぞれの固有の文化と歴史を持っています。しかし、隣国ですから当然、その文化と歴史は、交差するところがたくさんございます。例えば、日本語と韓国語をみれば、言語的に極めて近いということがわかります。すなわち日本と韓国は、友人関係を超えた兄弟関係にあると思っております。お互いの立場を尊重しながら、同じ時間と空間を少しでも多く共有し、日韓共催W杯の時のように、一緒に何かを成し遂げる思い出を多くつくっていくことが大切だと考えます。

 今回受賞された事業は、世代を越えて長く続けてこられたものが多いようです。継続が友情を育み、信頼が固い絆となって結ばれていくのをみるのは、何よりもの喜びです。

 地道な草の根活動によって日本と韓国の方々の出会いの場が広がり、友好の場が次第に大きくなっていくことを心より願って、式典に寄せる言葉とさせていただきます。


◆高円宮賞4件・草の根交流、各地に根付く◆

 高円宮賞を受賞した大垣少年少女合唱団(早崎桂子団長)「日韓親善交歓演奏会」は、日本の大垣市と韓国の昌原市のフレンドリーシティー(友情都市)事業の一環としてスタート。隔年に相互訪問して、合同演奏会を開催するとともに、ホームステイで両国の歴史と文化を体験する。

 早崎桂子団長は、「韓国の方々から受けた心は子供たちの胸に生涯消えることはないでしょう。人と人との結びつきほど強いものはないと確信しています」と述べた。

 韓国YFU(国際学生交流協会、辛定夏会長)「韓日高校生の教育交流」は、長期(1年間)・短期の高校生交換留学事業で、一般家庭にホームステイしながら高校に通学する。異文化を理解し、草の根外交官として日韓友好の懸け橋となる人材を育成。

辛定夏会長は、「草の根外交官として高校生を教育して、日本に送り出している」と話した。

 車玉秀・国立晋州教育大学校名誉教授「韓日伝統文化交流事業」は、1967年以来、日本各地との文化交流を行い、韓国の伝統芸能を児童から大人に至るまで紹介・指導し、日韓民族芸能交流イベントにも数多く参加し、地域住民とも積極的に交流。

 車玉秀女名誉教授は、「これからも韓日交流に精一杯がんばりたい」と語った。

 熊本ワイズメンズクラブ(那須浩一会長)「日韓視覚障害者青少年交流プログラム」は、熊本県立盲学校と大邱市の盲学校とのスポーツ・文化交流で、当初の野球・バレーボール・柔道等のスポーツ交流に加え、近年は音楽会の開催、マッサージ技術交流も実施して、視覚障害者を支援。

 大村豊副会長は、「いつまでも両国の子どもが仲良く交流を続けるようにしたい」と話した。

 選考委員からは、次のような声があった。

 小田島雄志・東京大学名誉教授「各地で多様な草の根交流が続いていることは、本当にうれしい。両国の国民同士が親しみを深め、理解しあえるように、今後も活動を続けてほしいし、もっと輪が広がってほしい」

 川淵三郎・日本サッカー協会名誉会長「今回は応募者が多く、選ぶのに苦労した。それだけ民間交流が増えていると実感する。スポーツは一定のルールの下で行うので交流しやすい部分があるが、民間交流は人と人の付き合いなので、大変な努力が必要だと思う。地道な交流を長年続けていることに、敬意を表したい」


◆立派な交流事業 渡邉 泰造・高円宮記念日韓交流基金理事長◆

当財団の会員も年々増え、現在会員数は50社に達しました。今年の顕彰事業につきましては両国国民に広く呼びかけ、出されたたいへん多くの案件を事務局長が実際に現場に出かけ調査しました。それに基づき、長年にわたり地道に活動を続けてこられた立派な交流事業を委員会で選考させていただきました。

◆協力と共生を 申 珏秀・駐日韓国大使◆

 韓日は隣国同士であるだけに、さまざまな問題がありますが、相互理解と信頼があれば、円満に解決しながら共生と協力のパートナーシップを作り上げていくことができます。高円宮記念日韓交流基金が韓日両国間における懸け橋の役割をされている個人と団体を厳選し、激励し表彰するのは非常に大きな意味があると思います。

◆日韓交流深化を 安藤 裕康・国際交流基金理事長◆

 高円宮殿下は、特にW杯共催大会が行われたことを契機に日本と韓国との友好親善に多大な貢献をされました。受賞された皆様方も草の根レベルで長期にわたり日韓交流に尽力されたと思います。皆様方の活動を通じて高円宮殿下が心を砕かれた国際交流、そして日韓の交流がさらに深まるよう祈念します。