ここから本文です

2013/05/24

<韓国文化>済州道に曰鐘(ウァルジョン)美術館

  • 済州道に曰鐘(ウァルジョン)美術館①

    「曰鐘美術館」の説明をする李曰鐘氏

  • 済州道に曰鐘(ウァルジョン)美術館②

    故・金煥基展

  • 済州道に曰鐘(ウァルジョン)美術館③

    銀製鍍金の注子および承盤(12世紀、高麗)

 韓国各地で開かれている話題の美術展、また済州道に新しくオープンする美術館などを紹介する。

◆曰鐘(ウァルジョン)美術館、5月31日オープン◆

 画家の李曰鐘氏(1945年生まれ)が済州道・西帰浦市に美術館をオープンする。

 自身の名前をとった「曰鐘美術館」のオープンは5月31日。昨年2月に着工し、最近完成した。同美術館は高さ15㍍・広さ約992平方㍍の3階建て。

 1階には、子ども美術教育室、陶芸室、収蔵庫がある。2階の常設展示室には李曰鐘氏の代表作30余点、3階には作業室、客用の茶室が備えられた。

 建物のハイライトは屋上で、西帰浦海岸の絶景を一望できる。李氏は「住居と作業室を兼ねた建物にしようと思ったが、文化財保護地域という理由から許可が出なかった。美術館であれば許可できると言われたことで、西帰浦の文化芸術発展のために微力ながら寄与しようと決心した」と話した。

 画家が私財を投げ打って美術館の建設に着手するのは異例だ。職員の月給も支給できないほど運営困難の私立美術館は多い。李氏は「心配していない。まず作ることが重要」と特有の楽天的口調で話した。

 設計を担当したのは、スイスの建築家Davide Macullo氏だ。李氏は白磁器を見せながら、このように作るよう頼んだという。美術館の入口には、アートショップを兼ねたカフェも建てた。

 李氏は20余年間、西帰浦の風景を描いてきた。同美術館の開館展として、多文化家庭助け合い版画展も開かれる予定だ。


◆「故・金煥基(キム・ファンギ)」展◆

 韓国抽象美術の先駆者とされる故・金煥基氏(1913~74)が、今年で誕生100周年を迎える。故人は全羅南道・新安郡で生まれ、東京、釜山、ソウル、パリ、ニューヨークで韓国的叙情と西欧のモダニズムを融合させた独歩的な芸術世界を確立した。

 その金煥基氏の企画展が、ソウル鍾路区付岩洞の煥基美術館で6月9日まで開催中。「どこで何になり、再び会うのか」をテーマにした個展だ。

 最初の抽象画「家」をはじめ、「月夜の島」「夜明けの星」や「どこで何になり、再び会うのか」の連作など70余点を展示。時系列に「ソウル~東京時代」「パリ時代」「ニューヨーク時代」で構成され、故人の人生を垣間見ることができる。

 金氏が選択した美術テーマは、故国の自然、満月、故郷の海、藍色の空などだ。1950年代後半、金氏は「パリという国際競技場に出ると、故国の空が一層はっきり見え、我々の歌は強く聴こえた。我々は、我々の物を持って行くしかなかった。我々のものでない場合、模倣やコピーに過ぎなくなるだろう」と語っている。


◆「金銀宝貨―韓国伝統工芸の美」展◆

 企画展「金銀宝貨―韓国伝統工芸の美」が、サムスン美術館リウム(ソウル龍山区)で6月2日まで開催。

 古代~大韓帝国時代に至るまでの工芸品65点が展示されている。このうち9点が国宝、14点が宝物だ。

 工芸品は金、銀、玉、水晶、硝子、カボチャを材料にし、主に王室と貴族の権威と品格を表すために作られた。派手な装飾美が際立つ。

 展示室に入ると、すぐに「銀製鍍金の注子および承盤」(12世紀、高麗)が見える。現在、唯一残っている高麗時代の銀製の水柱および水柱の受け皿だ。竹を繋いだような模様で、上部には蓮の花と鳳凰が模られている。蓮の葉脈まで見えるほど精密だ。

 高さは20㌢にも満たないが、衣装の細部まで細かく描かれた金銅仏像や菩薩像も目を引く。

 国宝80号「金製如来立像」(692年頃、統一新羅)、宝物927号「金銅観音菩薩立像」(8世紀、統一新羅)、宝物1047号「金銅大勢至菩薩座像」(14世紀、高麗)なども展示されている。

 展示室には高解像度モニターが設置されており、細かい模様を拡大しながら立体鑑賞することができる。