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2014/02/14

<韓国文化>在日の自画像を作品に

  • 在日の自画像を作品に①

         郭徳俊「ニコッとシェー」1966年 作家蔵

  • 在日の自画像を作品に②

    色絵花鳥文六角壺 有田窯 江戸時代・17世紀後半 サントリー美術館

 話題の美術展が各地で開かれている。大阪の国立国際美術館では在日の画家「郭徳俊 ニコッとシェー 1960年代絵画を中心に」を開催中。またドイツのフォトグラファーで「ピョンヤンⅠ」などの作品がある「アンドレアス・グルスキー展」も同館で同時開催されている。東京のサントリー美術館では、韓半島にルーツを持つ「IMARI/伊万里 ヨーロッパの宮殿を飾った日本磁器」展を開催中だ。

 郭徳俊は1937年、京都に生まれた。60年代から今日まで半世紀近くにわたって、現代美術の分野で極めてユニークで実験的な創作活動を展開してきた。

 その創作領域は、絵画から写真、版画、パフォーマンス、そして映像と多岐に及んでいる。特に74年に始まった「大統領シリーズ」は、雑誌の表紙を飾った歴代米国大統領の顔と自身の顔を半々ずつ、つなぎ合わせるという独創性から、彼の代表作として広く知られることとなった。

 郭のその表現の背後には、植民地時代に日本人として生まれ、戦後、1952年のサンフランシスコ講和条約の発効によって、一方的に日本国籍を奪われ、在日韓国人として日本で生きることを余儀なくされた、歴史に翻弄される個人の姿がある。政治や社会の不条理を自らの内に抱え込まねばならなかった、歪んだ自画像としての側面もあった。


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