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2014/02/28

<韓国文化>東アジア近代美術の発展を見る

  • 東アジア近代美術の発展を見る①

        チャン・ウソン「画室」1943年 リウム三星美術館所蔵

  • 東アジア近代美術の発展を見る②

    キム・グァンホ「夕暮れ」1916年 東京藝術大学所蔵

  • 東アジア近代美術の発展を見る③

    イ・インソン「窓辺」1934年 リウム三星美術館所蔵

 「東京・ソウル・台北・長春―官展にみる近代美術」展が、福岡市の福岡アジア美術館で開催中だ。20世紀前半の韓国(旧朝鮮)、日本、台湾、中国東北部(旧満洲)で開かれた官設の公募美術展覧会(官展)をとおして、同地域の美術の近代化を紹介する初めての試みである。ラワンチャイクン寿子・同館学芸員に文章を寄せてもらった。

◆植民地下の民族アイデンティティー ラワンチャイクン寿子(福岡アジア美術館学芸員)◆

 2008年から準備をはじめた「東京・ソウル・台北・長春─官展にみる近代美術」展は、日韓関係の悪化、いくつもの借用条件の調整、悪天候に見舞われた輸送と、予想しなかった荒波にもまれ、展覧会準備は難航をきわめた。難破の心配はいつもつきまとい、開催に漕ぎ着けたことが夢のようである。この先も航海の海は凪ぎそうにないが、ともかく13日、福岡、府中、神戸に寄港しながらの巡回の半年が始まった。

 「官展」とは、20世紀前半の北東アジアで開かれた、官製の公募美術展のことである。当時、朝鮮や台湾は日本の統治下にあり、「満洲」と呼ばれた中国東北部も日本の強い影響下にあった。諸制度からインフラ整備まで日本式のものが導入されていくなか、美術活動も例外ではなく、1907年に東京で始まった文展(19年から帝展)の制度をふまえて、22年にはソウルで朝鮮美術展覧会が、27年には台北で台湾美術展覧会が、そして38年には長春で満洲国美術展覧会が始まっている。

 これらの官展は、いずれも当時もっとも大きな規模で開かれた。しかし、華々しい報道とともに行われ社会への影響力は絶大だったものの、実際には審査員制度などに深刻な問題があり、とくに韓国や台湾や「満洲」の官展では、日本人審査員の意見が現地の美術の方向を左右する面があった。それでも官展は、近代の重要な作家を輩出し、西洋画の普及と日本画や韓国・台湾の東洋画などの成長を促し、また展覧会制度を定着させるなど、各地の近代美術の基礎のひとつになった。官展は、さまざまな美術活動の軸となる展覧会だったのである。


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