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2016/04/01

<韓国文化>「韓日文化交流の促進を」 ~金現煥・駐日韓国大使館韓国文化院・第12代院長に聞く

  • 金現煥・駐日韓国大使館韓国文化院

    キム・ヒョンファン 1966年韓国・全羅南道生まれ。93年ソウル大学校政治学科卒。94年文化体育観光部入庁。企画調整室政策企画官などを経て、15年8月に韓国文化院長就任。

 駐日韓国大使館韓国文化院の第12代院長に金現煥氏(50)が昨年就任した。赴任から半年を経た金院長に、今年度の活動方針など伺った。

 金院長は昨年8月に就任、日本留学経験を生かして活動している。

 「97年から99年まで日本の政策研究院に留学した。この時が初めての日本だった。金大中大統領(当時)が日本大衆文化を解放した時で、日本ではまだ韓流にみられるような韓国ブームは起きていなかった。その後、映画『シュリ』がヒットし、『冬のソナタ』が爆発的な人気を呼んで韓流が始まり、いまはテレビで連日韓国ドラマが放映され、日本のスーパーでは本場のキムチが売られている。こんなに変化するとは驚きだった」

 「韓国でも日本式の居酒屋やラーメン店が増え、日本文学も韓国語に多数翻訳されて韓国の若者が親しむようになった。韓国と日本は世界中で一番近い存在ではないか。韓日は2000年の交流の歴史がある。経済や政治に問題があっても、文化交流は続いてきた。最近は歴史問題など政治的に厳しい状況が続いたが、昨年末に従軍慰安婦問題で両国の合意があり、関係改善の動きが見えているので、今後の交流促進に期待している」

 今年度は、比較文化の講演会など多様な活動を予定している。

 「韓国文化院は世界25カ国、29カ所にあるが、日本が最も古く79年5月10日に開院した。09年には新しい建物が完成し、全世界で一番規模が大きく、職員数も多い。これを有効活用し、いままで以上に韓国文化を発信し、韓日文化交流の拠点としていきたい。また他の文化院の良き模範ともなれるようにしたい」

 「2月に韓日合作映画『ザ・テノール』の上映とトークショーを行った。この映画は、テノール歌手の裵宰徹(ペ・チェチョル)さんと、彼が甲状腺がんにかかったとき、彼を支えた日本の輪嶋東太郎プロデューサーの国境を超えた友情の物語だが、トークショーではそのお二人と、手術を担当した日本人医師にも参加してもらった。それによって映画だけではない、生の声を伝えることができた。そういう試みを今後もやっていく。そして個人的には、韓国と日本の文化を比較して紹介することが、とても面白いと感じている。両国の伝統衣装や伝統舞踊など、その同質性と異質性について、講演会や上演会などを通して伝えたい」 

 若い世代向けの行事にも力を入れたいと強調する。

 「K―POPなどの文化交流だけでなく、両国の若者の交流にも注力したい。また東日本大震災があった東北地域を応援できる行事を行いたい。先日、「話してみよう韓国語大会」の予選大会を5年ぶりに福島で再開したが、とても好評だった。5月には韓国ドラマの紹介イベントを韓国文化院で行い、6月にはK―POPコンテスト南東北予選大会を福島で開く予定だ。東北地域の復興と交流をアピールすることで、韓国人観光客を東北に呼び込む一助にもなればと考えている。7月15日には都内でK―POPコンテストの全国大会を行う」

 「渡来人によって発展した高麗郡(埼玉県日高市)は今年で建郡1300年を迎え、関連行事が多数予定されている。高麗神社などを訪問するツアー『日本の中の韓国を訪ねて』を6月に地元の人たちの協力を得て行い、歴史に思いを馳せると同時に、韓日友好の一助としたい。さらに毎年9月の韓日交流まつりだが、今年は24、25日に行うが、このまつりをより活性化させたいと考えている」

 在日文化人の活用、スポーツ交流なども重要なテーマだ。

 「在日文化人は両国文化を知っている人たちだ。いままでも文化院で公演などをしたり、伝統文化教室の講師として協力してもらっているが、それをさらに拡大するとともに、在日文化人の活動を支援できるようにしたい」

 「韓国は国土も小さく、人口も少ないので、輸出をしないと国が成り立たない。最近は文化コンテンツ輸出に力を入れているが、IT技術も韓国は進んでいるので、文化産業とIT産業が融合して世界に進出することが大切だ。韓国では昨年、文化産業融合センターができた。世界に新たな発信をしていけると思う。韓日関係では、18年平昌冬季五輪や2020年の東京五輪を契機に両国スポーツ・文化交流が深まるよう、多様な活動を展開していきたい」