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2016/11/25

<韓国文化>美学者・柳宗悦の半生を描く

  • 美学者・柳宗悦の半生を描く

    左から齊藤尊史(浅川巧役)、日色ともゑ(姜明珠役)、篠田三郎(柳宗悦役)、中地美佐子(柳兼子役) 撮影:渞忠之

 民芸運動の創始者として知られる柳宗悦を描いた『SOETSU 韓くにの白き太陽』が12月、劇団民藝によって都内で上演される。浅川伯教・巧兄弟と触れあい朝鮮の陶磁器や古美術に惹かれていく柳を軸に、植民地下の韓国人の苦しみ、韓日の相互理解とは何かを描く。

 柳宗悦(やなぎ・むねよし、1889年~1961年)は、民芸運動を起こした思想家、美学者、宗教哲学者。名前は〝そうえつ〟と読まれることが多く、欧文でもSOETSUと表記されている。白樺派に参画し、日本民藝館を創設するなど、その活動はいまも受け継がれている。

 劇団民藝は1950年、民衆に根ざした演劇芸術を作り出そうと旗揚げされた日本の著名な劇団である。

 今回、劇作家の長田育恵さんの書き下ろし、演出・丹野郁弓、柳宗悦役を篠田三郎(客演)、朝鮮女性・姜明珠役を日色ともゑほかで上演する。

 物語は、宗悦の転機ともいえる日本統治下の韓国を舞台に展開する。

 柳宗悦(篠田三郎)は雑器として扱われていた朝鮮白磁の美しさに魅了され、予感に突き動かされるように1916年初めて朝鮮に渡った。

 浅川伯教・巧兄弟や宿屋の女将・姜明珠(日色ともゑ)と知り合い、宗悦は朝鮮の美にのめりこんでいく。そして、失われゆく民族文化のための朝鮮民族美術館設立へ。しかし、宗悦の活動は統治政策の一環だと韓国人に誤解され、さらに独立運動や関東大震災時の痛ましい事件が、人々の間に亀裂を深める…。

 篠田さんは、「柳はピュアで、エネルギッシュな人だったと思うので、その姿を見せたい。韓国の文化をこれほど愛した日本人が、過去に存在したことを日本の若者に知ってもらうことが、両国の未来を考えるのにつながるはず」と話す。


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