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2017/04/28

<韓国文化>〝ミュージアム×演劇〟の実験プロジェクトを

  • 〝ミュージアム×演劇〟の実験プロジェクトを①

    てらだ・あゆみ 静岡県出身。2011年3月、政策研究大学院大学政策研究科公共政策プログラム博士課程修了、博士(文化政策研究)。
    東京大学総合研究博物館インターメディアテク寄付研究部門特任准教授。

  • 〝ミュージアム×演劇〟の実験プロジェクトを②

    演劇パフォーマンス『Play IMT(4) ― プレイグラウンド』
    階段フィナーレより(2016年4月9日) ©インターメディアテク

 JPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク(IMT)」では、14年10月から東京大学総合研究博物館と韓日で活動する劇団「世amI」との協働で演劇創作プロジェクトを行っている。企画者の寺田鮎美・東京大学総合研究博物館インターメディアテク寄付研究部門特任准教授に文章を寄せてもらった。

◆インターメディアテクにおける新たな文化創造の挑戦◆

 JPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク(IMT)」は2013年3月の開館より、今年で5年目を迎えた。インターメディアテクは、東京大学総合研究博物館と日本郵便株式会社の産学連携というユニークな運営体制による入館料無料のミュージアムである。

 インターメディアテクでは、東京大学総合研究博物館が学術研究活動を担い、1877年の開学以来、東京大学に蓄積されてきた学術標本や研究資料など、さまざまな学術文化財の展示を行っている。その内容は、東京大学の研究・教育が扱う幅広い領域を反映し、自然誌から文化誌まで多岐にわたる。

 インターメディアテクの大きな特徴とは、ミュージアムと各種の異なる表現メディアとを架橋し、新しい文化の創造につなげる場となることが企図されている点である。その独自の取り組みの一つに、14年10月から開始した演劇創作プロジェクト「Play IMT」がある。

 本プロジェクトでは、日本と韓国を中心に活躍する劇団世amI(せあみ)をコラボレーターに迎え、ミュージアムにおける演劇創作の実験に取り組んでいる。世amIによるこれまでの演劇活動の蓄積を見聞きするなかで、彼らとのコラボレーションであれば、日韓各々の文化的背景や環境を活かしながら、国際的に強い発信力をもった「ミュージアム×演劇」の新しい芸術実験プロジェクトができるのではないかと期待した。

 ミュージアム×演劇という組み合わせは一種の「化学反応」を引き起こす。俳優はすべてのものが動かないはずの展示空間で生きて動く闖入者となったかと思うと、展示物の一部にすっと溶け込んでいく。一方、展示物はそのまま舞台背景となっていたはずが、じっと動かないままいつのまにか俳優と同じ役割を担う存在として立ち現れてくる。


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