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2017/07/07

<韓国文化>日常の小さな幸せを撮影

  • 日常の小さな幸せを撮影

    梁丞佑さん㊧と久塚真央さん

 優秀な作品を発表した写真家に贈られる第36回土門拳賞を今年3月に受賞した韓国出身の写真家・梁丞佑(ヤン・スンウ)さん(50)と、妻の久塚真央さん(35)の共作による「真央+梁丞佑写真展『さくら』」が、東京・高円寺の座・高円寺ギャラリー・アソビバで4日に始まった。

 梁丞佑さんは韓国出身。96年に来日し、日本写真芸術専門学校を経て04年に東京工芸大学芸術学部写真学科卒業、06年に同大学院修了。

 在学中から、東京・新宿歌舞伎町に暮らす人々を撮影し続けてきた。

 「人間の欲望が見え隠れする歌舞伎町の雰囲気がとても気に入ったし、外国人でも普通に受け入れてくれた。この街の変化を記録したいと思い、撮り続けた。04年から『歌舞伎町浄化作戦』が行われて、安全な街になった分、かつての歌舞伎町は姿を消しつつある。この街の行き先を見届けたいと思っている」

 歌舞伎町の写真をまとめた「新宿迷子」(禪フォトギャラリー)が第36回土門拳賞を受賞。今春、ニコンギャラリーで記念写真展が開かれた。

 そして今回の写真展「さくら」は、梁さんと久塚真央さんとの日常生活をお互いに撮影した写真をまとめたもの。

 タイトルの「さくら」は、「二人で花見をしたときの桜の花が、今までになく美しく見えたことから名付けた」という。

 この「さくら」も作品集として第3部まで出版、その中から約30点を展示している。

 一方、久塚真央さんは福岡県出身。梁さんと同じ東京工芸大学で写真を学んだ。座・高円寺で行われている子ども達のワークショップを記録するなど、梁さんとともにフリーの写真家として活動している。09年に名取洋之助写真賞大賞受賞。

 「ニュースで難民キャンプの女性たちの姿を見たとき、つらい環境の中でも笑顔を忘れない女性の印象が残り、そういう表情を記録する写真家になりたいと思った。現在は東南アジアなど祖父が従軍した戦跡地を撮り続けている。その写真集をいつか出したい」


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