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2019/04/05

<韓国文化>DMZの自然を守るプロジェクトとは

  • DMZの自然を守るプロジェクトとは

    崔在銀 hatred meits like snow 2019
    参考画像 Courtesy of the artist ©Kim Taedong

 韓国出身の女性アーティスト、崔在銀(チェ・ジェウン)が発案・構成した「The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project」展が今月中旬、東京・北品川の原美術館で開催される。

 同展は、韓国戦争休戦後、65年余りの歳月を経てDMZ(非武装地帯)に生まれた豊かな生態系を守り、生きとし生けるもの全ての共生を願って崔が14年に立ち上げた「大地の夢プロジェクト」の構想を可視化する展覧会。

 タイトルの「自然国家」とは、人間ではなく自然が治める国、崔の理想とする国のこと。かつて「アショカの森」展(2010年、原美術館)を開催するなど、アートの視点から生命を見つめてきた崔の集大成とも言えるDMZを舞台にしたプロジェクトの実現に向けた展覧会だ。

 DMZは停戦ラインの北緯38度線から南北2㌔ずつの帯状のエリアで、緩衝地帯となっている。1953年の停戦後、300万個ともいわれる数の地雷が敷設され、緊迫した状況が続いてきた。

 65年もの長きにわたって人びとが立ち入ることのなかったDMZは、今では106種もの絶滅危惧種を含め、5057種もの生物を育む豊かな大地となっている。

 崔はDMZに生息する命と人とが、同じ大地の生物として共に生きる方法を探るため、同プロジェクトを立ち上げた。現在、同展にも出品する世界的に活躍する李禹煥(イ・ウファン)など数多くのアーティスト、そして建築家、思想家が崔のもとに集まり、実現には困難が予想される中、具体的方法を提案している。

 崔は1953年、ソウル生まれ。76年より東京在住。2001年には映画『On The Way』を発表、映画監督としても活躍。


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