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2021/02/12

<韓国文化>夢を諦めずに挑み続ける

 韓国ドラマ『梨泰院クラス』でトランスジェンダーを演じて話題となったイ・ジュヨンが主演し、プロ野球選手を目指す女子高生の奮闘を描いた青春スポーツ映画『野球少女』が3月5日、全国で順次公開される。スポーツジャーナリストの大島裕史さんに、同映画について寄稿してもらった。

 1999年、大統領杯全国高校野球大会の準決勝で、韓国高校野球の名門・徳寿情報(現・徳寿)の先発投手が、安香媚(アン・ヒャンミ)という女性だったことは、まさに事件であった。韓国の部活動は、プロに入ることを前提にした少数エリート主義だ。そこに、女子の選手が登場したのだから衝撃は大きかった。

 韓国映画『野球少女』は、安香媚から20年後に登場した女子の野球選手、チュ・スインが、プロ野球を目指すという設定の作品だ。日本では細々とではあるが、高校の女子硬式野球部や女子プロ野球も存在するが、韓国ではソフトボールすら超マイナー競技である。その一方で、日本では男子中心の硬式野球部で女子は選手登録できないが、韓国は可能である。

 この映画は、二つの視点からみることができる。一つは家族のために自分を犠牲にしてきた母親たちの世代と違い、自分で人生を切り開こうとする現在の韓国女性の姿だ。そしてもう一つは、純粋にスポーツ青春ドラマとしてである。

 プロの世界に入るのは、男子でも困難だ。まして女子には不可能に近い壁が立ちはだかる。それでも夢を諦めず挑み続けるチュ・スインのひたむきな姿に、周囲の人の態度も変わっていく。


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