ここから本文です

2000/07/21

<韓国経済>政府保有の銀行株売却 2002年下期に延期へ

 政府は、10兆4000億ウオン規模の朝興・ハンビット・ソウル・第一・外換銀行の株式を2002年下半期(7-12月)から売却すると発表した。これはIMF(国際通貨基金)との政策協議で決定したもの。政府は当初、これら銀行株をできるだけ早期に売却し、公的資金に充てる予定だったが、経営正常化にかなりの時間がかかると判断したようだ。

 政府とIMFの今年最後の政策協議は、金融・企業構造調整の持続的推進に焦点が置かれた。

 現在、政府が保有しているハンビット銀行など5行の普通株は、6月末時価総額基準で10兆4000億ウオンにのぼる。IMFショック後、金融構造調整過程で保有することになった株式だ。

 政府は、これら株式を処分するためには、総資産利益率(ROA)が0・4%以上、株主資本利益率(ROE)が5%以上にならなければならないとみている。併せて、市場での株価が少なくとも1万5000ウオン以上に上がることを前提にしている。
 これらの条件を充足できる時期は2002年下半期と予測、今回の売却時期繰り延べを決定した。実際、99年現在で、これら銀行のROEやROAは、いずれもマイナス状態だ。

 このような売却延期に政府とIMFが合意した背景には、公的資金投入銀行の正常化が早期に実現するのは容易ではないという判断がある。株式売却前までは、追加の公的資金20兆ウオンをねん出しなければならない。

 一方、政府は当初、ソウル銀行を外国に売却する方針だった。昨年11月のIMFとの協議でも、このような内容を明示したが、今回の政策協議ではこれを削除、事実上、ソウル銀行の海外売却方針を撤回したものとみられる。

 協議合意文では、「現在ドイツ銀行により実施されている調査を土台に民営化を準備する」とだけ明記している。民営化案を樹立する時期も2002年に大幅にずれ込んでいる。これによって、ソウル銀行は海外売却より金融持ち株会社に編入される可能性が高まった。

 当初、政府とIMFの今年最後の政策協議は、金融・企業の持続的推進に焦点が当てられていたが、実際には、政府保有株の早期売却が「2002年下半期」にまで後退し、この株式売却遅延により追加的な公的資金投入が避けられないという点でも一致した。これで、金融構造改革が当初予定より遅れるかも知れないという不安を払拭するため、政府は30大財閥企業の財務状況点検とワークアウト(財務構造改善作業)指定企業の構造調整に拍車をかけるとしている。