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2000/08/25

<韓国経済>政府と財界が懇談会

 政府と財界はこのほど懇談会を開き、産業間の不均衡問題を解決し、国際競争力を強化するため、互いに意見を交換し、政策に反映していくことを決めた。これは、現場の企業からの声に耳を傾け、政策を立てるのが望ましいとの判断だ。これを受けて今年下期から各種規制や日本の部品産業誘致などに関連した政策案が整備される。一方、企業の構造調整に関しては、「従来の政策は譲れない」とする政府と、「こちらの意見も取り入れてほしい」とする財界が真っ向から対立し、衝突は避けられないもようだ。

 陳稔・財政経済部長官をはじめとする政府と財界関係者が懇談会を開き、合意した4項目は次の通り。
 ①規制改革②準租税の廃止③部品産業の育成④企業構造調整の5大原則の点検と計画。これに対する報告書を財界は今年9月末までに政府に提出し、提出された報告書をもとに政府は財界の意見を検討したうえで、政策案をまとめる。

 IT(情報技術)など新産業に関連した政策については、未知の分野が多く、専門知識が要求されるため、財界の意見が最大限に重要視されるとみられる。
 規制緩和に関して財界は、政府の直接規制を間接規制に変えていくことを要求。また各種準租税の廃止も要求に盛り込むと見られており、政府も財界から提出される報告書を検討し、ある程度の妥当性が確認できれば、これを了承するもようだ。

 一方、国際競争力の強化のためには、韓日間の自由貿易協定の締結と部品産業の育成が不可欠だとの認識で政府、財界とも一致しており、競争力を強化するために政府と財界が共同で特別委員会のような常設機構を設置することでも基本的に合意している。

 ただし、財界が最も憂慮している企業の構造調整に関しては、政府と財界間に異論があり、財界の報告書がどの程度まで政策に反映されるかは未知数だ。

 財界は今回の懇談会で、負債比率の縮小に関しては市場の動向を反映するよう要求。さらに、98年に実施された大規模事業交換(ビッグディール)に関連して債権金融機関の追加支援が必要だとの見解を示しているが、構造改革が韓国経済の当面の課題であり、最近になって金大中大統領が直接改革に介入する姿勢を明らかにしていることから、政府が基本方針を譲歩することはないと見られる。

 懇談会を終えた陳・財経部長官は、「経済の活力を高め、知識・情報に強い国家をつくるために財界との壁をなくし協調していく」と述べる一方、「構造調整に関しては財界の意見を十分に考慮はするが、従来の原則を曲げることはない」と強調した。