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2001/04/13

<韓国経済>現代自動車 米国車を輸入レンタル

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    現代自動車は米国車の輸入で貿易摩擦を回避し対米輸出の拡大を図る(蔚山の現代専用ふ頭)

 第34回太平洋経済協議会(PBEC)総会に出席するため、日本を訪れた陳稔・副総理兼財政経済部長官は9日、現地で記者会見し、政府と現代自動車は、通商摩擦を避けるため、ダイムラークライスラーなど外国車を輸入し、国内のタクシー会社にレンタルするビジネスを推進していると明らかにした。陳副総理は、同総会に出席している現代自動車の李ゲアン社長と会談し、具体的な方法について協議した。

 今回の措置は、世界最大の米国市場で韓国車の販売を増やすには、現地メーカーの対韓進出に協力し、通商摩擦要因を取り除く必要があるとの判断からだ。業界は、資本提携しているダイムラークライスラーとの関係を強化するための布石と見ている。

 国内市場が成熟期にさしかかり、市場は飽和状態にあるため、現代・起亜自動車は今年、米国市場で約60万台を販売する計画だ。米国での販売増加率が起亜1位、現代2位を記録するなど、今年に入り好調な滑り出しをみせ、60万台の目標達成は容易と見られている。

 国内の輸入車市場は今年8000台規模と予想されているが、米国メーカーは、米国での韓国車の伸びと照らして、韓国に対して積極的な米国車の購買を要求している。昨年の韓国車の輸出実績は154万4000台だったのに対し、輸入はわずか4646台だった。

 米国は、年初から自動車問題を韓米通商の最大懸案事項としてあげ、場合によってはセーフガード(緊急輸入制限措置)の発動も辞さないと強気の姿勢をみせた。

 当初、現代は、通商摩擦を避けるために米国に現地工場を建設することを検討したが、資金難などから無期延期としている。このため、現代は、米国の機嫌を損ねず、市場でのイメージ悪化を防止するために、苦肉の策として米国車の輸入販売を選択したようだ。過去には、89年から96年まで、起亜自動車がフォード車を販売し、米国との通商摩擦を回避したケースもある。

 特に現代は、クライスラー車の輸入販売に力を注ぎ、これをきっかけに、提携関係を強化しようというねらいがある。また、輸入した車をタクシーに利用すれば、国内ディーラーの反感を軽減でき、米メーカーにとっても広告効果があるとみている。

 現代によると、7―9人乗りバンを輸入し、タクシー会社や個人タクシー向けにレンタルする計画だ。特に、ソウル―仁川国際空港間に投入する予定で、現在、政府やソウル市と協議中だという。現代が購入を予定しているモデルは、クライスラーの「キャラバン」「グランドキャラバン」「ボイジャー」が有力だ。