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2002/11/01

<韓国経済>移動体通信4社 補助金違反で初の営業停止

 通信委員会は、SKテレコム、KTF、LGテレコムの移動体通信サービス3社とKTFの加入者募集を代行するKTに対し、端末機補助金の支払い禁止に違反したとして営業停止(新規募集)処分を命じた。補助金禁止に違反して営業停止処分を受けるのは今回が初めて。通信委員会は、これによって通信市場の度を超した過当競争にブレーキがかかるとし、市場の過熱が沈静化し、業者の財務状態も健全化すると期待している。

 通信委員会は10月28日、全体会議を開き、移動体通信事業を行う4社に対し、10日から30日間の営業停止処分を決定した。会社別の営業停止期間は、SKテレコム30日、KTF20日、LGテレコム20日、KT10日となっている。これによって各社は、営業停止期間中の新規加入者の募集ができなくなる。

 通信委員会が移動体通信サービス会社に対し営業停止という重い処罰を科したのは、禁止されてからも端末機補助金の支払いが続けられてきたためで、今回の措置で完全にシャットアウトするのがねらいだ。

 処分については通信委員会でも「営業停止処分」か「課徴金賦課」かで意見が分かれたが、これまでと同じ是正措置では、違反行為が根絶できないと判断したという。

 再三にわたる是正勧告にもかかわらず、違反がなくならず、SKテレコムにはこれまでに5回・(171億ウオン)、KTFは9回(141億5000万ウオン)、LGテレコムは7回(71億3000万ウオン)、KTも3回(22億1500万ウオン)の罰金が科せられている。

 移動体通信業界の違反は、事実上シェアを独占しているSKテレコムに対する他社の「勝ち目のない戦」にある。KTFとLGテレコムは、シェアを拡大しようと新たな料金体系商品を出したり、各種付加サービスで顧客獲得をめざしたが、いずれも失敗。結局、加入者をライバル会社から引き抜いたり、新規顧客を確保するのに一番手っ取り早い方法として補助金の支払いを続けてきた。

 通信委員会は、今回の制裁で不必要な出血競争が抑えられ、マーケティング費用を節減できるとみている。4社も今回の措置を不服としながらも受け入れる姿勢だ。


◆端末機補助金とは

 補助金支払いは、携帯電話メーカーの希望価格よりも端末機を安く販売するもの。90年代初めに移動体通信サービスが始まった時には補助金に対する規制はなかった。しかし、97年に個人携帯通信(PCS)3社が市場に進出し、過当競争から補助金の支払いが当たり前となり、99年に携帯電話は「無料」になった。このため、顧客が端末機を理由もなく交換し、資源の無駄遣いを招き、未成年者がタダで携帯端末を手にし、料金を滞納するなど弊害が起き、社会問題に発展。情報通信部は2000年6月に補助金支払いを禁止した。