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2002/08/30

<韓国経済>電気料金見直しへ優遇措置を是正

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    これまで低賃金が適用されてきた製造業も待遇されなくなる

 産業資源部はこのほど「電気料金体系改正案」を発表した。これによって住宅用などの電気料金が引き下げられるが、これまで優遇措置がとられてきた産業施設、農業の料金は逆に高くなる。政府は今後1カ月以内に8回の公聴会と討論会を開き、消費者の意見を聞いて最終案を確定するが、生産原価が高まることは必至で、産業界と農・魚民からの反発が予想される。

 産業資源部は、韓国電力の分割民営化に伴って差別化されている現行の電気料金体系を見直し、来年から2004年3月までに各分野ごとの料金格差を漸進的に是正していく考えだ。

 現在の電気料金体系は、住宅用(住居)、一般用(公共・営業所)、教育用(学校・図書館・博物館)、産業用(製造業・鉱業)、農業用(農業・漁業)、街灯用の6つに区分され、用途別に異なる料金が設定されている。生産活動と直結している産業用や農業用の電気料金は、企業の競争力強化と農・漁民を支援するため特別安い料金が適用され、優遇措置がとられている。

 産業用は平均より9・7%安く、農業用は52・0―73・1%も低い料金が適用されている。公共性の強い街灯も4・8%安い。これに対し、住宅用は7・8%、教育用は9・3%高く、一般用は25・6%も高くなっている。

 産業資源部の改正案では、産業用を来年5・3%、2004年には5・1%引き上げる。また農業用の甲種(灌漑、揚・排水施設用)に関しては、これまで通り特別料金の適用を継続するが、それ以外の部門は毎年10%ずつ引き上げる計画だ。

 住宅用は、容量によって7段階の料金体系が設けられているが、来年から2008年までに3段階に縮小し、料金格差を現在の最高18・5倍から3倍程度に抑制する。

 政府が電気料金体系の全面改正に乗り出すのは、製造業と農・漁業を優遇してきたため、他の消費者から不満が起きているためだ。また発電事業の民営化で市場競争体制に移行していくことをふまえ、政府の価格統制を廃止していくのがねらいとみられている。