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2002/06/14

<韓国経済>「W杯特需」めぐり明暗

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    Tシャツ靴や赤い製品がよく売れるデパートの小物売場(ソウル)

 サッカー・ワールドカップ(W杯)による経済的な影響で、業種によって明暗が分かれている。韓国も日本も観戦用の家電や衣類など関連用品、飲料水などの売れ行きが伸びている半面、外国人観光客や海外への旅行客が減少で旅行会社やホテルなどは逆に売上を落としている。またW杯観戦で集客が落ちた映画館、パチンコなどの娯楽産業や外食産業も苦戦している。

 韓国でW杯が始まって以降、売れ行きが好調なのが、W杯観戦需要に乗った高画質・高音質のデジタルテレビなどの家電製品。LG電子の4月のテレビ販売台数は3・7倍に達したほか、サムスン電子のPDPテレビやプロジェクションテレビの売れ行きもW杯開催中の今月の販売台数の伸び率が前月の2~3・5倍だという。

 また衣類や靴などの関連グッズも好調だ。ソウル市内にあるロッテ百貨店本店のスポーツ衣類売場では、最近の売上の半分以上が、アディダスやナイキなどのブランド衣類を韓国代表チームのシンボルカラー・赤で染めた商品で占めているという。大手企業の広告でサポーター「レッドデビル(赤い悪魔)」が来た「Be the Red」のキャッチフレーズ入りTシャツは、すでに40万枚以上が売れている。

 一方、日本の方も観戦用の家電製品や関連グッズの売れ行きが伸びているほか、お茶の間のW杯観戦に伴う商品が売り上げを伸ばした。宅配ピザ大手のドミノ・ピザは日本対ベルギー戦が行われた今月4日の売上高が通常の2倍以上に達した。またコンビニエンスストアも試合が始まる1時間前から飲食物を買い込む人が目立った。ビール業界などでは缶入り発泡酒の売り上げ増を見込んでいる。

 ただW杯特需の恩恵に預かる業界がある一方で、韓国も日本も思わぬ余波を受けて売上がダウンするところも少なくない。

 韓国では期間中の日本人観光客が半減、通常の90%オフの韓国ツアーを企画したり、日本人向けの韓国ツアーを一時中止する旅行社も出ている。外国人サポーターの宿泊需要を見込んでいたホテルも特級ホテルなどでは予約の20%がキャンセルになったところもある。また日本も若者が観戦を優先し海外旅行を避けた影響などで海外パックの売れ行きが低調、JTBをはじめ大手旅行会社の今月の取扱人数が軒並み1割ダウンしている。