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2002/03/29

<韓国経済>北朝鮮で携帯電話事業推進

 SKテレコムが北朝鮮で携帯電話事業を展開するため、現在韓国で使用されている800MHzの周波数の確保に乗り出した。今後の南北交流の活性化をにらみ、無線通信需要の拡大に備えるのがねらい。北朝鮮は、金正日総書記の指示で携帯電話の実用化を急いでおり、韓国の移動体通信業者の北朝鮮進出に弾みがつくもようだ。

 SKテレコム代表団はこのほど、北朝鮮を訪問し、朝鮮逓信会社(KPTC)など北朝鮮の通信関連業者とコード分割多元接続方式(CDMA)体系、周波数配分に関する問題などについて協議した。当局にデジタル携帯電話事業の許可申請も行ったもようだ。

 今回のSKの北朝鮮訪問は、南北交流の拡大に備えて、北朝鮮で携帯電話事業を展開するのに必要な周波数を事前に確保するのがねらいとみられている。

 政府関係者は、「韓国のCDMAサービスは世界最高水準にあり、韓国を中心に中国、東南アジアなどに拡散しつつある」と述べ、CDMAネットを北朝鮮を通じて中国まで結ぶ構想に意欲を示した。

 金正日総書記が昨年、中国・上海を訪問したあと、北朝鮮でも携帯電話の実用化を図るよう通信当局に指示したことから、北朝鮮は現在、SKテレコムをはじめ外国の通信会社から携帯電話システムの導入を積極的に進めている。KPTCは98年7月、タイのロックスリー・パシフィック社と共同で東北アジア電信電話会社(NEAT&T)を設立、同社に羅津・先鋒地域に限って欧州式デジタル携帯電話(GSM)の事業権を与えている。

 NEAT&Tは、昨年末までに電話5000回線を設置し、現在500人の加入者にポケットベルサービスを行っている。また中国と北朝鮮を行き交う国境貿易の従事者向けにGSMサービスを提供していると伝えられている。

 また同社は、今年上期中に設備を整え、7月1日から本格的な携帯電話サービスを始める計画で、現在平壌をはじめ北朝鮮全域でGSM事業権を獲得するため動いているという。