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2003/09/05

<韓国経済>来年から富裕層に重課税

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    政府は財産税の「賦課基準を広さなどから価格に変更し、高級住宅に住む人の税金を重くする(ソウル江南の高級マンション)

 来年からアパートの財産税がソウル江南地域では60-70%上がり、江北地域をはじめとする他の首都圏および地方では20-30%引き下げられる。また政府は、2006年から市郡区で実施する総合土地税(地方税)とは別途に、不動産過多保有者を対象に全国に所有する土地を合算して累進課税する「総合不動産税」(仮称)の新設を推進する。総合不動産税は一種の富裕税で、課税に対し強い抵抗や反発が予想される。また実際に不動産投機を抑制する効果の有無、税制万能主義に対する批判なども起きそうだ。

 金斗官・行政自治部長官はこのほど、不動産保有税の改正案について発表し、改正のねらいについて、「財産税の衡平性を高め、不動産投機を防ぐため」と語った。

 行政自治部の金鍾奎・地方税務官は、「総合不動産税の課税基準と対象は確定していない」としながらも、対象者は10万人にのぼるとの見解を明らかにした。昨年を基準に、総合土地税を50万ウオン以上払っている人は24万9000人、100万ウオン以上は12万人に達する。

 改正案は財産税の賦課基準を建物の面積と築年度などから時価に変更し、価格の高い家に住む人がその分だけ多くの財産税を払うことになる。

 政府が出した今回の対策は、不動産登記の抑制以外に、租税の衡平性と税収の拡充が目的だ。租税の平衡性の問題は、昨年から続いているソウル・江南地域のアパート(マンション)の価格暴騰で問題が表面化した。取引価格に関係なく、面積が広いほど税金を多く支払わなければならない地方税の不備に見直し論が出ていた。

 税収の拡充意図も無視できない。景気沈滞で来年度の法人税入が3兆ウオン程度減ると予想されるなか、政府は税収の確保に躍起となっている。

 今回の改正案のなかで最も論議を呼びそうなのが不動産過多保有者に対する重課税だ。自治体に総合土地税を納付した後、再び総合不動産税として国税庁から税金が賦課される仕組みで、「二重課税」として反発が起きるのは必至だ。

 李鍾奎・財政経済部財産消費税審議官は、「不動産を多く所有する人に総合不動産税を課す場合、総合土地税に対しては税額控除を行うので二重課税にはあたらない」と説明するが、同改正案が国会を順調に通過するかは不透明な状況だ。