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2003/07/25

<韓国経済>半導体に大型投資

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    サムスン電子は華城工場の増設でライバル社との差をさらに広げたい考えだ

 サムスン電子が、メモリー半導体部門に新たに5000億ウオンを投資する。これによって、最先端の300ミリウエハーを加工する京畿道華城工場を増設する方針だ。低迷していた半導体市況が回復していることを追い風に、増設によってサムスンはさらに後続メーカーとの差を広げるもようだ。

 サムスンは、月2万枚(第1工場11ライン7000枚、第2工場12ライン1万3000枚)の300ミリウエハー加工能力を持つ華城工場に新たに12ライン(1万4000枚)を増設する計画だ。また第1工場も拡張し、加工能力を3000枚増やし1万枚に引き上げる。

 これによってサムスンの300ミリウエハー加工能力は、年末までに3万7000枚に増える見通しだ。さらに第3段階の増設も検討しているといわれる。サムスンが300ミリウエハー施設に力を入れているのは、従来の200ミリより1枚当たりチップ生産量を2・25倍に増やすことができ、競争力を高めることができるためだ。

 ライバル社の独インフィニオンは、年末までに3万5000枚、米マイクロン・テクノロジーは5000枚の処理能力を備えるとみられており、これに対抗するのが目的だ。しかし、増設の時期はいまのところ未定だ。サムスンはメモリー半導体の市況が好転し、安定を維持できると判断した段階で着工するとしている。特に追撃をもくろむライバル社の技術水準をみて、投資時期を決定するもようだ。

 現在ライバル社は、回路線幅0・11-0・13マイクロ(百万分の1)の技術水準にとどまっているが、サムスンは唯一0・10マイクロの技術を保有している。サムスンは技術的に優位に立っているが、技術開発競争はすさまじく、サムスンとて、のんきに構えてはいられない。このため、増設によってライバルとの格差をさらに広げたい考えだ。

 サムスンの関係者は、「し烈な競争で苦境に立っているのはライバルも同じ」とし、第3四半期中には新規投資に踏み切りたいと話している。

 インフィニオン、マイクロン、ハイニックス半導体などライバル社は、大規模な累積赤字に苦しんでおり、投資財源の確保が容易ではない。この点、サムスン電子は豊富な内部資金を保有し、優位に立つ。