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2003/02/28

<韓国経済>中日間の地政学的位置を活用

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 盧武鉉大統領の就任演説の核心テーマは「東北アジアの中心国家構想」だった。就任演説の冒頭でふれ、金融、物流だけでなく幅広い産業を誘致し、経済基地とする意向を示した。盧大統領が掲げる東北アジア構想にスポットを当てる。

 盧大統領が示した東北アジア中心国家構想には「新しい経済成長力の模索」と「韓半島の平和政策」という2つの大きな柱が横たわる。中国と日本にはさまれた地政学的位置を活用していくことが、今後の国家競争力確保のカギだが、これをパワーアップさせるためには南北間の和解と活発な経済交流が不可欠だとの前提に立っている。

 盧大統領は就任演説で、「中国と日本、大陸と海洋をつなぐ橋としての地政学的位置が、過去にわれわれに苦痛を抱かせたが、今日はむしろチャンスになる」と語った。さらに、「われわれは優秀な頭脳と創意力、世界一流の情報化基盤、そして仁川空港、釜山港、光陽港、高速鉄道など空と海と陸の物流基盤を確保している」と述べ、韓半島は東北アジアの物流と金融の中心地になれると強調した。

 次期政権引き継ぎ委員会は、すでに「東北アジア中心国家建設」を12大国政課題の核心に据えている。

 金大中政権は、昨年1月から「東北アジアビジネス中心国家プロジェクト」を推進してきたが、この二つの構想には、多少差がある。

 金大中政権は、東北アジアの金融および物流基地をめざすとしていたが、盧政権の構想は、金融、物流だけでなく産業までを含めた東北アジアの中心地に育成するというものだ。仁川を中心にした首都圏はIT(情報技術)および観光団地、釜山を中心とする東南圏は部品素材、光陽を中心とする西南圏は資材に特化し、それぞれ先端産業基地に育成する。

 しかし、財政経済部は、「製造業まで含めると地域間の不均衡が生まれ、環境破壊などで外国人投資が難しくなる」と反対しており、引き継ぎ委員会と対立している。このため両者は、同問題を検討するため、近く公開討論会を行う予定だ。