ここから本文です

2004/04/02

<韓国経済>韓・チリFTAが発効

  • keizai040402.jpg

    FTA発行で意見交換する金容徳・関税庁長㊧とラウル・オルラド・チリ関税庁長

 韓国初の自由貿易協定(FTA)となるチリとのFTAが4月1日に発効した。農業をはじめとする一部産業への被害は避けられないが、主力分野の工業製品の対チリ輸出が大幅に増えると予想されている。世界10位内の貿易大国でありながら、これまでFTAの締結が皆無だったが、チリとのFTA締結で、現在推進中の日本、シンガポールとのFTA交渉に弾みがつきそうだ。

 韓・チリFTAの発効で、電気銅を除いた工業製品の全品目の輸入関税が即時撤廃され、種牛や種豚、種鶏、配合飼料、羊毛、麦など農産物224品目、水産物277品目、林産物138品目の関税も撤廃される。

 韓国の即時撤廃比率は87・2%で、ほとんどが工業製品。10年以内に林・水産物100%、農産物は70・3%に引き下げられる。

 チリは自動車と携帯電話、コンピューター、機械類など全品目の41・8%に該当する2450品目について、対韓輸入関税を即時撤廃する。

 韓国はチョコレート、めん類などを5年以内に、桃の缶詰、種子用トウモロコシ、七面鳥肉を7年以内、桃、豚肉、柿などは10年以内に撤廃し、ブトウは端境期(11-4月)に限り10年をかけて関税をなくす。ワインは5年以内に関税を撤廃する。コメ、リンゴ、ナシは例外品目となった。

 チリは自動車部品と電気、電子、ポリエチレンなど2100品目を5年以内に、タイヤや電気掃除機、繊維、衣類、鉄鋼製品は10-13年以内に関税を撤廃する。冷蔵庫と洗濯機は自由化品目から除外された。

 今回のFTA発効で、チリ向け製品の輸出がかなり増えることになる。これによって、下落傾向にあった韓国製品のチリ市場でのシェアが回復する見通しだ。

 韓国は、貿易黒字の半分を占める中南米市場に前哨基地を保有したという点でも、今回のFTAの意味は大きい。チリは中南米各国と関税引き下げ協定を結んでおり、チリとのFTAで近隣諸国への進出も容易になると期待されている。