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2004/02/20

<韓国経済>ウォン高で輸出に暗雲

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         急激なウォン高で輸出採算性悪化が懸念されている

 ウォン高が急激に進み、企業の輸出競争力が低下すると懸念されている。6日連続のウォン高更新で16日には4カ月ぶりに1ドル=1160ウオンを突破、前週末の終値より2・60ウオン高い1157・50ウオンをつけた。1ドル=1188ウオンに達した旧正月直前(2月20日)に比べ、約1カ月で30ウオンも上がった。しかし、為替当局に特別な動きはなく、市場関係者は、政府の為替管理能力が限界にきているのではないかと不安を隠せない様子だ。

 16日の外国為替市場はドル売り注文が殺到した。時折り国策銀行が市場に介入しウォン買いに出たが、ウォンの上昇に歯止めはかからなかった。心理的ラインの1160ウオンを4カ月ぶりに突破したこともドル売り注文を呼び込むことになった。

 これを好機とみた外国人投資家は、韓国株を2000億ウオン以上買い入れ、国内の輸出企業が保有するドルを売ったことも、ウォン高を煽った。

 市中銀行の為替ディーラーは、「1160ウオンを突破したことで、上昇圧力がさらに強まるだろう」とし、当局から特別なシグナルがない限り、当分この傾向は続くと予想している。

 市場関係者も、為替当局が市場に介入しても、国内外の状況を考慮すると、ウォン高を止めるのは難しいという見方を示す。先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議に続いて、グリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長までが、最近のドル安を容認する意思を表明しているためだ。

 国内証券市場に対する外国人の投資が増えていることもウォン高の一因になっている。さらに年初から物価が上昇を続けていることも、為替当局の動きを鈍らせる要因になっている。外資系銀行のディーラーは、「昨年10月中旬に1150ウオンまで進んだウォン高が1200ウオン台まで回復できたのは、輸出入物価が下がったためだ」とし、現在は物価が不安定で、為替当局が積極的な市場介入を控える傾向にあると指摘する。

 1月の輸入物価は国際原油価格の高騰などで4カ月連続で上がり、32カ月ぶりに高い上昇率を示した。