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2005/02/25

<韓国経済>10大部品・素材を集中育成

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    自動車分野では動力制御システムなど3品目の国産化をめざす

 政府と財界は、電機・電子、機械、自動車の中核部品素材分野から10大戦略品目を選定し、集中育成することを決めた。これに伴い、政府と財界は、今後5年間に1兆5000億ウオンの研究開発費を投入する。政府が財界と手を組んで部品素材の育成に乗り出すのは、日本への部品の依存が続き、巨額の対日貿易赤字を記録しているためで、官民挙げて国産化に本腰を入れる。

 全国経済人連合会(全経連)は、部品素材特別委員会の創立総会を開き、未来の成長動力として育成する戦略品目を発表した。選定されたのは、電機・電子部品5品目(LCD、透明CNT複合素材、RFインバーター基板、近距離無線通信複合モジュール、OLED)、自動車部品3品目(動力制御システム、機能統合一体型シャーシモジュール、知能型ステアリングシステム)、機械部品2品目(複合機械用自律制御装置モジュール、統合パワートレインモジュール)。

 政府と財界がこれら品目の集中育成に乗り出す背景には、2000年から急増している部品素材の対日貿易赤字がある。2000年に103億㌦だった部品の対日赤字は、昨年107億㌦に膨らんだ。産業界には、韓日FTA(自由貿易協定)が締結されれば、対日赤字がさらに膨らむという危機意識が高まっており、政府に対策を求める声が強まっていた。

 今回は、財界が至急の開発を要望している戦略品目を選定し、それを政府が全面的に支援するかたちをとる。技術開発には、部品素材メーカーとそれを必要とする企業が共同で参加する。

 政府は、80年代に機械部品・素材の国産化、90年代には資本財の育成に力を注いだが、短期的な成果を急ぎ、源泉技術の開発よりも汎用技術を重視したために、大きな成果は得られなかった。また、1件あたり17億ウオンに過ぎないばらまき型の政府支援も批判を受けた。今回は、その反省に立ち、官民が一致協力して国産化に挑む。

 政府は、技術開発資金の半分である1900億ウオンを支援し、研究開発(2300億ウオン)と量産化(8500億ウオン)に必要な資金を融資する計画だ。これに伴い、6月までに開発事業者を選定、下半期から本格的な研究に着手する。

 しかし、課題も多い。LG経済研究院は、過去の部品素材育成政策が失敗したのは、きちんとした販路を確保できなかったのが原因だとし、公共機関での購入を保証するなど、販売対策が必要だと指摘する。さらに、大企業が協力企業の収益を保証しなければ、競争力のある部品メーカーは育たないと警告している。