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2006/12/15

<韓国経済>ウォン高、韓国企業を直撃

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    ウォン高で大きな打撃を受ける造船業界は事業計画の見直しを急いでいる

 ウォン高が韓国企業を直撃し、経営を圧迫している。このままウォン高が進むと、1㌦=800ウォン台に突入する可能性もあり、主要企業は経営の見直しに着手している。しかし、ウォンレートの先行きが読めず、どの企業も為替対策に頭を痛めている。

 主要財閥グループの半数以上が、この1カ月の間に為替展望値を一斉に変更した。上場製造業の今年1-9月の営業利益は31兆7000億ウォンで、前年同期に比べ10・6%も減少した。輸出の為替差損が膨らみ、貿易収支が急激に悪化したためだ。この間、ウォンの対ドルレートは7・2%も切り上がった。営業利益率は前年同期より1・33ポイントも下落し、6・78%に落ちている。

 サムスン経済研究所は、輸出企業(輸出比率50%以上)の損益分岐点となる為替水準は、自動車が949ウォン、一般機械999ウォン、化学製品905ウォンと分析しており、ほとんどの業種ですでに損益分岐点を超えている。

 特に為替の影響を強く受けるのが造船業界だ。業界は、為替変動によるリスクを回避するため、為替ヘッジを行い、被害を最小限に食い止めているが、原価競争力の低下とともに、経営基盤が弱まると懸念されている。

 造船各社ともウォン高の進展に伴って経営計画の全面見直しを余儀なくされている。大宇造船海洋は1㌦=800ウォン台になることを予想し、事業計画の建て直しに着手。韓進重工業も、来年は900ウォンを切り、870-880ウォンまで進むと想定し、対策に乗り出した。

 現代重工業も、来年の為替レートを930-950ウォンに想定し事業計画を進めていたが、急激な為替の変動に戸惑い、対策を協議中だという。

 このように輸出企業がウォン高で悲鳴をあげているなか、ウォール街の主要金融機関は、来年もウォン高が続くと展望している。メリルリンチ、ゴールドマンサックス、シティグループ、リーマン・ブラザーズなどウォール街の投資銀行(IB)は、ドル安基調が来年初めに落ち着くものの、下半期に再びドル安になると予測している。

 特に、モルガンスタンレーは、来年のウォン価格が1㌦当たり890ウォン台まで上がると予想した。モルガンスタンレーは、来年の米国の景気が予想より沈滞し、連邦準備制度理事会(FRB)が金利引き下げ政策をとる可能性が高まり、来年もドル安が続くと分析、特に韓国などアジアの通貨に対してドル安が顕著になるとみている。

 孫聖源・韓米銀行長は、「米国の経常収支赤字が増え続け、それにつれてドルの供給も多くなる。従ってドル安基調が持続する」と指摘し、「最近のドル安の主要因は、今後のドル安進展を懸念した投資家のドル売りによるものだ」と分析している。

 こういった状況から、来年はさらにウォン高になる可能性が高く、韓国企業にとって大きな試練になりそうだ。