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2006/10/20

<韓国経済>企業の先行きに暗雲

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    海外事業が大きなウエイトを占めるサムスン電子は為替の行先きが読めず、頭を痛めている

 国内主要企業では、来年の事業計画が立てられず頭を抱えている。北の核実験によって為替や原油価格の展望が不透明になっているのに加え、世界経済の成長鈍化と来年末の大統領選挙を控え、今後の状況判断が非常に難しくなっているためだ。例年だと、10月半ばには各社とも翌年の事業計画の概要が確定しているが、今年は青写真さえも作成できず、苦境に立たされている。

 SKグループの関係者は、「北朝鮮の核実験後、為替、原油価格、世界経済の展望が見えず、一部を除き、ほとんどの系列社はまだ来年度の事業計画を立てていない」と不安な様子だ。

 サムスンも、来年の経営環境が不透明なことから事業計画が立てられず苦慮している。サムスンは、サムスン経済研究所のマクロ経済分析資料をもとに事業の草案を作成し、11月までに系列社別に事業計画を決定するだった。しかし、北朝鮮の核実験で予定が大幅に狂ってしまった。

 サムスン戦略企画室は、「最も神経を使うところは、為替だ。北の核問題の解決が長期化した場合、国際社会がどう対応するかによって大きく情勢が変わる。このため、状況を注視しているところだ」と話す。サムスン電子は、海外事業の売上比率が85%を超えており、為替が10ウォン変動するごとに、営業利益に2000億ウォンの差が出る。このため、サムスンは、来年の事業計画を立てるに当たって、「最善」「普通」「最悪」の3つのシナリオを用意し、柔軟に対応していく方針だ。

 ポスコも、為替や金利の変動など不透明な事柄が多く、事業計画の作成に頭を悩ませている。ポスコは、為替専門の対策班を設け、来年の製品価格などの事業計画に反映させていく構えだ。

 一部の企業は、来年の経済見直しは暗いという前提で、「非常経営体制」に突入するもようだ。マクロ経済指標に直接の影響を及ぼす北の核問題、中東情勢など不安要因が多いため、保守的経営でリスクを最小化しようという戦略だ。

 大韓航空は、今年度の経営計画を立てる際に、原油価格を平均68㌦に設定した。しかし、今年上半期にこの水準を突破してしまい、計画に狂いを生じた。このため、来年度の事業計画作成には慎重だ。大韓航空関係者は、「国際原油価格は下がっても、燃料価格が需要増で上昇することもある。保守的な経営計画を立てても、突発的リスクがあまりにも大きい」悲観的だ。

 為替、原油価格の予測がつかず、石油化学業界も来年の事業計画作成に慎重な態度をみせている。輸出比率が半分を超えている業界は、原油高による収益生悪化に加え、今年の為替を1㌦=1000ウォンと予想して苦戦を強いられた。このため、為替を900ウォン台前半、原油価格を60㌦後半に設定し、来年度の事業計画を策定する方針だ。