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2006/09/15

<韓国経済>東部製鋼・ポスコにM&A要請か

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    供給過剰と中国製品の流入で冷延業界は苦戦を強いられ、再編は不可避だ(ポスコ光陽製鉄所)

 鉄鋼業界によると、国内冷延トップの東部製鋼(売上高2兆3953億ウォン)が、ポスコにM&A(企業の合併・買収)を提案した。東部は、自社を買収するか、ポスコの子会社で冷延鋼板を手がける浦項鋼板を売却してほしいと要請したという。しかし、東部側はこれを否定している。冷延業界は、供給過剰と原料の値上がりで採算が悪化し窮地に立たされ、再編が急務となっている。

 鉄鋼業界は、東部製鋼がM&Aを提案したのは、冷延業界の営業環境が悪化し、採算が大きく低下しているためで、冷延業界の構造調整が避けられないと分析している。冷延業界は、今年に入り、供給過剰、安い中国製品大量流入、原資材のホットコイルの価格上昇などで厳しい状況に直面している。

 東部製鋼は、牙山、仁川、浦項の3工場で年間478万㌧の冷延鋼板を生産し、昨年337億ウォンの営業黒字を記録したが、今年上半期は174億ウォンの営業赤字に転落した。このため、東部グループは、収益性が悪化している東部製鋼を売却し、有望なIT(情報技術)と金融に事業の軸を移すとみられている。

 通貨危機以降、構造調整によって再編された鉄筋業界と異なり、冷延業界は深刻な供給過剰状態が続いてきた。東部製鋼、現代ハイスコ、ユニオンスチール、浦項鋼板など冷延業界の生産量は年1628万㌧に達し、このうち44・6%(726万㌧)を輸出に回している。

 さらに、安価な中国製品の流入によって過当競争にさらされ、業績の悪化を招いている。中国などからの輸入は前年比40・9%増の47万2000㌧に急増している。また、原資材のホットコイルをポスコや日本の鉄鋼業者に依存している脆弱な構造も問題だ。ポスコは最近、ホットコイル価格をトン当たり4万ウォン引き上げたが、業界は製品価格に2万ウォンしか上乗せできず、苦戦が続いている。

 東部製鋼の李寿一社長は、業界で取り沙汰されている今回のポスコへのM&A提案について自ら会見し、「ポスコにM&Aを申し入れたこともなければ、浦項製板の買収を持ちかけたこともない」と否定した。