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2006/08/04

<韓国経済>財閥総帥・3%台の持ち株で実権

  • keizai_060804.jpg

    サムスンの李健熙会長は、最も低い0.29%の持ち株でグループを支配している

 公正取引委員会は、「2006年大規模企業集団の支配構造(4月1日基準)」に関する報告書を発表し、財閥グループの総師がわずか3%台の持ち株で7倍に達する議決権を行使し、グループを支配して実態を明らかにした。特に、系列社間の循環出資及び金融子会社の顧客資金を系列社に出資して支配している構図が改めて浮き彫りになり、企業の支配構造をめぐる議論が再び活発化する見通しだ。

 公取委によると、資産2兆ウォン以上の相互出資制限グループのうち、総帥が実権を握る41グループの総帥(家族など含む)持ち株は5・04%に過ぎなかった。特に、資産6兆ウォン以上の財閥グループ14社の総帥の持ち株は3・67%と少ない。しかし、41グループの系列975社のうち581社(60・9%)を総帥が1株も持たないまま支配していることがわかった。

 総帥の持ち分をグループ別にみると、サムスンが0・29%で最も低かった。以下、斗山(0・22%)、ロッテ(0・28%)、錦湖(0・56%)、SK(0・71%)、現代(0・82%)と続く。

 一方、総帥が持つ議決権が実際の持ち株の何倍に相当するかを示した数値をみると、出資総額制限グループで7・47倍、相互出資制限グループで6・71倍に達している。つまり、総帥は、持ち株の約7倍の議決権を行使していることになる。

 特に支配構造を強めている財閥は、東洋(21・08倍)、SK(16・42倍)、STX(14・35倍)、ハンファ(12・53倍)、斗山(11・62倍)など。フランス(1・07倍)、英国(1・12倍)、ドイツ(1・18倍)などと比べると、かなり高い水準だ。

 このほか、系列社間の循環出資も改善がみられない。総帥がA社に500億ウォンを出資し、これをA社がB社に、B社がC社に出資し、再びC社がA社に戻すというやり方で、これによって、1500億ウォンの架空資本を生み出す。こうして総帥が株式を持たないB社とC社まで支配する構造になっている。サムスンの場合、サムスン電子→サムスンカード→サムスン火災→サムスン電子など系列6社の間で循環出資を行っていると指摘されている。

 公取委によると、出資総額制限対象の14財閥のうち、11財閥がこのような循環出資を利用し、巧みにグループを支配しているという。

 こういった実態をふまえて、公取委は出資総額制限制度に代わる新たな規制案を検討する考えだ。