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2007/11/23

<韓国経済>東部製鋼・ポスコ、現代に次ぎ一貫生産

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 東部製鋼が、忠清南道・唐津の牙山湾工場で電気炉製作所ミニミル(一貫生産・圧延工程、年産250万㌧規模)の起工式を行った。ミニミルは鉄スクラップを利用して電気炉で溶鉄をつくり、熱延鋼板を生産するもので、国内ではポスコと現代製鉄のみがミニミルを稼動している。これによって東部は、原料の外部依存から脱し、一貫製鉄メーカーの仲間入りを果たす。

 製鉄は、溶鉄→熱延鋼板(冷延などの原料)→冷延鋼板(自動車や家電向け鋼板)の工程をたどるが、これまで東部製鋼は、ポスコなどから年間270万㌧の熱延鋼板を購入して冷延鋼板を生産してきた。しかし、最近の世界的な鉄鋼不足によって、需給が逼迫し価格が高騰していることから、熱延鋼鈑を自社生産することを決めた。

 東部は、ミニミルが稼働する2009年7月から鉄くずを溶かしてスラブ(半製品)をつくり、鉄鋼の中間財である熱延鋼板を年間250万㌧生産する計画だ。これによって、年間15億㌦の輸入代替効果が見込まれる。

 同工場は牙山湾工場の165万平方㍍の敷地に建設され、160㌧の電気炉2基、精錬設備1基、薄スラブ連続鋳造設備、熱間圧延設備を備える。総投資額は6200億ウォンで、このうち5000億ウォンは産業銀行などから借り入れる。

 これに伴い、電気炉、精錬設備、連続鋳造設備をイタリアの製鉄エンジニアリング会社ダニエリから、熱間圧延設備を三菱重工業から導入する。また、韓光熙社長をはじめ役員を現代製鉄、ポスコなどから迎え入れ、人材を補強した。

 生産する熱延鋼板のうち180万㌧を自社の冷延工場で使用し、残り70万㌧は外部に販売する予定だ。これによって東部製鋼は、ポスコ、現代製鉄に続く国内3番目の一貫製鉄所を保有し、原料及び中間財の自社生産で収益性が大きく改善する見通しだ。

 起工式で金俊起・東部製鋼会長は、「今回の製鉄事業は、原料の自立という東部製鋼の長年の宿願を実現させる出発点になる。20代前半に描いた一貫製鉄の夢が40年ぶりに実現した」と述べ、世界最高の設備と技術力を備えた電気炉製鉄所の建設に全力を尽くすと強調した。

 東部製鋼は2009年にミニミルが完成すると同時に1000億ウォンを追加投資し、年産350万㌧規模に増設する計画を打ち出している。

 韓光熙社長は、「280万㌧の原料需要のうち、鉄スクラップを50-60%、残りを代替材の銑鉄、HBI(直接還元鉄)でまかなう」とし、「HBIと違い銑鉄の調達は難しく、豪州の鉱山会社と共同でインゴット(鉄塊)の製造会社を設立するため、交渉を進めている」と明らかにした。