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2007/09/14

<韓国経済>財閥の銀行所有許可せず

 金容徳・金融監督委員長が、「金産分離」(財閥の銀行所有禁止)原則に対する公式意見を初めて表明し、「現在の原則をそのまま維持すべきだ」と主張した。これは、尹増鉉・前委員長の「自由化すべきだ」という意見と対立するもので、自由化は「弊害多く時期尚早」との見解を示した。

 金委員長は10日の記者懇談会で、「銀行は信用を創出・供給する機関で、産業資本(財閥)はこれを使うところだ。どの国でも産業資本の銀行所有には慎重であり、世界100大銀行のうち、産業資本が手中にしているのは4カ所に過ぎない」と指摘した。

 これは、企業に対する信用評価と貸出を担当する銀行が産業資本(財閥)の所有になれば、銀行による企業の監視体制が崩壊することを憂慮したもので、金産分離賛成の立場を明確にした。

 さらに金委員長は、金産分離という用語についても、「厳密に言えば財閥の金融会社所有を禁止したものではなく、銀行のみを禁止したものであるため銀産分離と呼ぶのが正しい」と述べた。

 また、金産分離によって国内企業が米ローンスターが進めている外換銀行の売却に参加できず、再び外国資本の英HSBCに売られてしまうという一部の批判に対し、金委員長は、「国内銀行も外換銀行の買収に関心を持っており、資金に余力のある銀行も多い。金産分離によって国内銀行が外換銀行を買収できず、HSBCが買収するとみるのは適切ではない」と反論。過去に外換銀行、第一銀行などが外国資本に売られた通貨危機の時代とは状況が違うと指摘した。

 一方、金委員長は、HSBCが外換銀行の買収許可を申請した場合、「法的な不確実性が解消されれば(ローンスター事件の判決後)、銀行法などの関連法に基づいて処理する。支配株主としての適合性、国内金融産業の発展と効率性も総合的に評価して決めたい」と話した。

 尹増鉉・前委員長は2005年から金産分離緩和を主張し、財政経済部と対立してきた。産業資本の効率的な活用に向けて、尹前委員長は財閥の銀行所有を許容すべきだと強調した。今回の金委員長の発言によって、金産分離をめぐる金融当局の葛藤は一段落する見通しだ。しかし、金産分離問題はいつでも再燃する可能性がある。現在、国会には議員立法による金産分離緩和法案が上程されているほか、来年発足する新政権が金産分離政策を変更する可能性も排除できない。