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2007/08/24

<韓国経済>ポスコ、韓国電力・発電用燃料電池を共同開発

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    ソウルのポスコセンターで覚書を交わす李亀沢・ポスコ会長(前列左)と李源杰・韓国電力社長(同右)

 鉄鋼最大手で、国内6位の企業グループであるポスコと韓国電力が共同で次世代エネルギーの開発に挑む。IT(情報技術)に次いで未来の成長産業とみられるエネルギー分野で主導権を握るのがねらいで、2社は20日、ソウルのポスコセンターで発電用燃料電池事業を共同で推進するための了解覚書(MOU)を交わし、本格的なエネルギー開発事業に着手した。

 燃料電池は、水素と酸素を化学反応させて電気エネルギーに変換するシステムで、燃料となる水素は、天然ガスやメタノールからつくり、酸素は大気中から無限に取り込むことができる。また、発電と同時に発生する熱も利用することができ、効率が高く、排出するのは水だけで、環境にやさしい発電システムとして脚光を浴びている。

 すでに米国、欧州、日本などで実用化され、発電用燃料電池市場は年平均80%の高い成長率をみせている。

 このためポスコと韓電は、共同で発電用燃料電池の研究開発を進め、市場をリードしていく方針だ。これに伴い、ポスコと系列社のポスコパワー、韓電と発電子会社6社が参加する実務協議会を発足、具体的な協力分野について詰める。

 李昇雨 ・ポスコパワー社長が主管する実務協議会では、発電子会社6社を通じて燃料電池を事業化する方法や韓電研究院と浦項産業科学研究院(RIST)のノウハウを相互に供与することを検討する。韓電は世界的な発電システムを持ち、ポスコは化学エネルギーを電気エネルギーに変換するスタック技術を保有しており、これを活用して燃料電池の開発に拍車をかける。

 ポスコと韓電は、すでに4年前から産業資源部の国策課題に共同で取り組み、燃料電池事業への共同進出を模索してきた。今年5月からは、最高経営陣による包括的協力協議を進めていた。

 今年初めにポスコは、子会社のポスコパワーを通じて発電用燃料電池事業に進出することを決め、2月に米FCE社と関連技術の移転契約を締結した。また、2010年までに2250億ウォンを投資し、浦項市の産業団地(20万8000平方㍍)に世界最大の燃料電池工場を建設することを決めた。

 世界市場では、燃料電池の開発にゼネラル・エレクトリック(GE)が5000億ウォン、FCEが3000億ウォンを投入するなど、シェアの先取りをめざして競争が過熱しており、ポスコと韓電も、今回の提携によって市場競争に加わる。