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2007/06/22

<韓国経済>韓米FTA・7分野で再交渉開始

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    韓米FTAは6月30日にワシントンで正式調印される予定だが、労働界には反対の声が根強い(民主労総の反対集会)

 4月に妥結した韓米FTA(自由貿易協定)の追加交渉が21日、ソウルで始まった。米通商代表部(USTR)が、米国議会とブッシュ政権が合意した新通商政策を韓米FTAの協定文に反映したいと再交渉を提案し、韓国が応じた。これに伴って、当初予定されていた6月30日のFTA協定文の調印がずれ込む可能性が強まってきた。

 米国は、労働、環境をはじめ、医薬品、安保、政府調達、港湾の安全、投資の7分野で協定文の修正または追加、削除を求めている。米議会は、農業、自動車、開城工業団地の原産地問題などに対する再交渉を強く要求していたが、米交渉団は新通商政策と関連する事項に限定するとしており、大幅な変動はないもようだ。

 しかし、労働、環境分野では、協定に違反があった場合には報復できるとする条項を新たに盛り込むなど、韓国に負担となる内容もある。このため、6月30日までに妥結するのは困難とみられている。政府関係者は、「FTAの本署名を予定通りに行い、追加交渉を継続していく可能性もある」と語っている。

 再交渉の争点は、労働、環境分野の紛争解決手続きだ。妥結したFTA協定文では、特別紛争の解決手続きについて、労働・環境法の執行に失敗すれば金銭的補償(最大1500万㌦)を違反国の労働・環境条件の改善に使用できるとしているが、再交渉で米側は、労働・環境分野も他の分野と同様に被害額相当の貿易報復ができる一般紛争の解決手続きをとるべきだと主張。貿易報復を回避するには、被害額に相当する罰金を相手国に納めることになる。

 また、既存の合意文では、労働・環境法の執行に失敗した場合のみ、紛争解決手続きをとると規定しているが、米側は再交渉で、労働・環境分野の協定文に違反すれば、すべての事項が訴訟対象になると主張している。

 一方、国際労働機関(ILO)の5項目の労働基準を採択・維持しなければならないという条項も、韓国側の負担になりうる。しかし、韓米両国ともに、5項目のうち3つを満たしていない点を考慮すると、米国側にも負担がかかることになる。

 その他の分野では、影響は少ないもようだ。医薬品分野では、世界貿易機関(WTO)の知的財産権協定と公衆保健宣言の義務を確認するにとどまりそうだ。安保分野でも、米国がサービス開放の例外としている海上輸送サービスを安保関連の例外適用対象とするという米側の要求を協定文で明確化するというものだ。投資分野についても、米国人投資家に対する逆差別禁止条項を盛り込むというもので、韓国にとって大きな負担にはならないもようだ。