ここから本文です

2008/04/11

<韓国経済>今年成長率4.5%に下方修正

  • keizai_080411.jpg

    消費者心理の萎縮などで景気が鈍化する兆しをみせている

政府傘下の韓国開発研究院(KDI)は、「4月の経済動向」で「景気が内需を中心に緩やかに鈍化の兆しをみせている半面、物価上昇傾向が続いている」と指摘。実体景気が第1四半期をピークに鈍化し、雇用不振、消費心理萎縮のなかで消費者物価が急騰し、内需不振が当分間続くと分析している。これに伴い、今年の経済成長率見通しを当初の予想より0・6ポイント下げ、4・5%に下方修正した。

 KDIの「4月の経済動向」によると、2月の産業生産とサービス業の活動指数はそれぞれ10・1%、5・9%の伸びにとどまり、前月(11・3%、7・6%)に比べて小幅低下した。

 「景気が鈍化している」とKDIが公式に発表したことで、総選挙以降に政府が矢継ぎ早に内需活性化策を打ち出す可能性が高まった。政府はすでに2日の経済・金融点検会議で、為替不安や物価上昇よりも雇用不安の問題を集中的に点検し、経済運用の焦点を物価安定よりも景気活性化に置く方針を決定したといわれている。

 ところが政府は、現在まで「景気の上昇は依然として続いている」との立場を堅持している。企画財政部は、経済動向報告書で、「原資材価格の高騰など、対外与件の輸出の好調を受けて、景気は上昇基調を維持している。対外与件の持続的悪化が指標に影響を及ぼしている」と分析した。今回のKDIの展望は、このような政府の見解と大きく異なるものだ。

 3月の輸出は引き続き良好で、前年同月比19・1%増と高い増加率を示している。引き続き原油価格が上昇しているが、これに対応して国内の石油消費が減少。このため、原油輸入量が大幅に減り、貿易収支の赤字幅は前月より縮小し、6億7000万㌦となった。

 問題は、内需景気の悪化だ。2月の消費財の伸び率は3・0%増にとどまり、緩やかな鈍化傾向が続いている。設備投資も1・9%減少するなど、投資も不振だ。

 KDIは、消費者評価指数が4カ月連続で下落し、昨年11月以降に一時的に上昇した消費者期待指数も景気低迷への憂慮とともに小幅低下していると分析。消費の不振から出荷が落ち込み、2月の在庫増加率は前月(5・0%)より高い8・5%を示し、在庫負担が加重傾向をみせていると憂慮している。

 KDIが景気が鈍化していると判断した背景には、今年に入り急速に悪化している雇用事情がある。KDIは、2月の就業者増加数が2005年12月以降で最低の21万人にとどまり、雇用不振が広がっていると指摘。盧武鉉政権から続く雇用不安が消費不振をもたらし、さらにこれが雇用不安を加重させていると分析している。

 また、為替の下落が輸入製品の価格を押し上げ、物価上昇に作用すると指摘した。消費者物価上昇率が昨年12月以降4カ月連続で中期物価安定目標(2・5-3・5%)水準を大きく上回った点も、景気の大きな悪材料になっている。