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2008/04/18

<韓国経済>サムスン・現代自、2大財閥の前途多難

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    2回目の事情聴取を終え、厳しい表情で報道陣の質問に答える李健熙会長㊧と、大法院の差し戻し判決を受け、うなだれて法廷を出る鄭夢九会長

◆経営から引退説も 李会長◆

 秘密資金疑惑や政界へのロビー活動で先週末に2度目の召喚を受けた李健熙・サムスン会長は、事情聴取から解放された直後に報道陣に対し、「すべての道義的・法的責任を私が負う。自身も含め、経営陣の刷新を積極的に検討する」と明らかにした。李会長の起訴は免れないとみられ、この発言をきっかけに、「李会長退陣説」が飛び交っており、サムスングループだけなく、財界にも激震が走っている。一方、不正蓄財などで起訴され、二審で「社会奉仕命令」の判決を受けた鄭夢九・現代自動車グループ会長の上告審で、大法院は高裁判決を覆して差し戻すよう命令した。韓国を代表する2大財閥の今後の行方が注目される。

 李会長は、特別検事事務室で5時間に及ぶ聴取を受けた後、取材陣に対して「すべて私の不行き届きだ。下の者たちが善処することを望む」と述べた。李会長は、記者の質問を制し、「自分から話す」と用意したメモを読み上げた。

 「起訴されれば、経営の一線から退くのか」という記者の質問に対し、李会長は「考えてみなければならない」と即答を避けた。

 しかし、李会長自らが始めて経営陣の刷新について言及したことで、李会長が経営から退くという見方が強まっている。

 しかし、サムスングループの幹部は、「特別捜査によって経営が4カ月近く停滞しているだけに、経営の刷新が必要だという意味だ。捜査結果が発表されていない時点で、李会長の退陣や支配構造の改善をうんぬんするのは時期尚早だ」と語り、「会長引退説」を否定した。また、「特別捜査の過程で指摘された制度の改善や後続措置を通じて生まれ変わるという意思を示したものだ」と強調した。

 財界は、グループのコントロールタワーの役割を果たしている戦略企画室(旧構造調整本部)の解体など、思い切った改革が行われると推測しており、李会長と李鶴洙副会長が中心となって率いてきたグループの経営が3世体制にシフトすることも予想している。

 また、捜査結果によっては、経営陣の交代にもつながり、サムスンが外部から経営の専門家を招き、経営を立て直すのではないかという憶測も飛び交っている。

 今回、特別検事チームは、借名で保有していた株式や預金が会社のものなのか、個人資産なのか、税金逃れの意図があったかなどを集中的に追求したとみられる。このほか、チョン・ヤンべ・戦略企画室常務と黄泰善・サムスン火災社長を召喚して尋問した。

 李会長は1回目の召喚時と同じように、今回も自身の責任論を挙げた。ただし、今回は「下の者たちに善処を頼む」と表現しており、これが何を意味するのか、今後の動向が注目される。

 一方、特別検事チームは、李会長の再召喚に続いて玄明官・サムスン物産前会長を再び召喚して取り調べ、すべての事情聴取を終える方針だ。最終的な結果の発表は、捜査期限(4月23日)の前日ごろになりそうだ。

◆社会奉仕は不適切 鄭会長◆

 大法院(最高裁)は、巨額の不正蓄財と横領で系列会社に損害を与えたとして起訴された現代グループの鄭夢九会長に対する上告審で、懲役3年・執行猶予5年および社会奉仕命令を言い渡した二審の判決を破棄し、ソウル高裁に差し戻した。

 昨年9月に行われた控訴審でソウル高裁は、鄭会長に対して、社会貢献基金(8400億ウォン)への出資、コンプライアンス(法令順守)経営を主題とした2時間以上の講演、国内日刊紙と経済専門誌への経営刷新に向けた寄稿文を掲載するとした内容の社会奉仕活動を命じた。

 しかし検察側は、社会奉仕命令が「労役」に当たらないとして大法院に上告。大法院は、「刑法に規制された社会奉仕は自由刑の執行を代替させるための仕事または勤労活動を意味するものであり、金品の捻出を命じることは許容できない」と指摘した。また、「講演と寄稿はどんな趣旨のものか不透明であり、執行過程で争いが発生することもある。犯罪行為を反省させたり、公にする趣旨であれば、憲法上の良心の自由に対する侵害の可能性もある」とし、「社会奉仕命令は不適切」との判断を下した。

 これによって鄭会長には、厳しい刑罰が下される可能性もあり、自動車のグローバル展開や一貫製鉄所の建設を進めている現代グループの前途に暗雲が漂っている。