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2009/01/16

<韓国経済>双竜自動車が法定管理申請

  • 双竜自動車が法定管理申請

 流動性危機に陥った双竜自動車が9日、ソウル地裁に法定管理(会社更生法に相当)を申請し、事実上倒産した。同社は上海で理事会を開き、販売不振に伴う資金難解消は困難と判断した。今回の決定は、筆頭株主の上海汽車が、買収から4年で双竜自の経営権を放棄、韓国から撤収することを意味する。今回の法定管理申請で、双竜自の役職員7200人、一次下請け250余社をはじめ数百の納品業者と生産工場がある京畿道・平沢の地域経済に打撃となっている。事態を重視した政府は、裁判所の決定を待って支援策を本格化する方針だ。

 双竜自はこの日、ソウル地裁に回生手続き開始申請、財産保全処分申請、包括的禁止命令申請を行った。法廷管理が始まれば、上海汽車の経営権行使が中止される。事実上、双竜自の経営から手を引いたことになる。

 上海汽車は04年10月に債権団と本契約を結び、株式48・9%を5900億ウォンで取得し双竜自の筆頭株主となった。その後、持ち株を51・3%まで増やした。

 双竜自は報道資料を通じ、「理事会を通じ、緊迫した資金流動性危機に対応し持続成長が可能な企業に生まれ変わるため、法定管理申請を決定した」と発表した。

 その理由として、①最近の世界的な金融危機に伴う景気低迷の余波で内需販売が急減、輸出も減少し赤字が拡大した②加えて、金融市場の信用収縮が急速に進み正常な資金調達も不可能となり、深刻な資金流動性危機に直面した③さまざまな経路を通じ政府、金融機関など利害関係者と共生の枠組みを作ろうと努力したが、利害の一致に失敗した説明した。

 上海汽車は法定管理申請を通じ、同社が保有する双竜自の全発行済株式を放棄する。これは現時点での時価総額1600億ウオンの約800億ウォンに当たる額だ。その代わり双竜自の負債総額6000億ウォンについては返済の義務がなくなる。法定管理申請に伴い、3人の代表理事のうち、崔馨鐸社長と張海濤代表理事が辞任し、藍青松・首席副社長だけが残った。

 法定管理可否の決定が出るまで1ヵ月ほどかかる見込みだが、裁判所が法定管理を受け入れた場合、双竜自再建のすべての義務は裁判所が選任する法定管理人へと委ねられる。法廷管理人は従業員のリストラなどを含む、経営の正常化に向けたあらゆる権限を行使できるようになる。

 ただし、再建の可能性がないと判断し、法定管理申請が受け入れない場合には、双竜自は売却または清算の手続きに入る。こうなると従業員は全員が解雇され、資産の売却などを通じて債権の回収が行われることになる。

 上海汽車がわずか4年で双竜自の経営権を放棄したことで、双竜自の高級乗用車開発技術を持ち去った上で双竜自を手放し、結果的に技術が流出したとの見方が広まっている。しかし販売の急激な落ち込みや過激な労働組合など、内外における経営環境の悪化で、上海汽車にとっては法定管理以外に選択肢はなかったとの指摘もある。

 中国紙の新京報は、上海汽車は双竜自の過大な人件費軽減に向け、2億ドルの支援を前提に2000人の人員削減を要求したが、受け入れられなかったと指摘、「双竜自問題は中国企業が海外進出を図る上で支払わなければならない授業料だ」と報じている。