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2009/08/14

<韓国経済>ソウル市・「地下高速ハイウェイ」建設へ

  • ソウル市・「地下高速ハイウェイ」建設へ

 ソウル市はこのほど、都心の渋滞を緩和させるため、総額11兆2000億ウォンを投じ、地下に碁盤の目のような道路網を構築する「U―スマートウェイ計画」を発表した。東西方向に走る道路が3本、東西方向が3本で、完工予定は2019年。これらが開通すれば、車でソウル全域を30分前後で移動できるようになるという。

 ソウル市が描く地下道路網計画は、都心部の地下40~60㍍に6つの路線(総延長149㌔㍍)を建設するというもの。都心の地下空間を効率的に利用して、飽和状態に達した地上道路網の一部を地下に移す狙いだ。

 新たに建設されるのは、▽南北1号線(衿川/クムチョン区始興/シフン洞~都心~恩平/ウンピョン区、24・5㌔㍍▽南北2号線(瑞草/ソチョ区良才/ヤンジェ洞~竜山/ヨンサン区漢南/ハンナム洞~道峰/ドボン区、26・3㌔㍍)▽南北3号線(江南/カンナム区細谷/セゴク洞~城東/ソンドン区聖水/ソンス洞~蘆原/ノウォン区上渓/サンゲ洞、22・8㌔㍍)▽東西1号線(麻浦/マポ区上岩/サンアム洞~都心~中浪/チュンナン区、22・3㌔㍍)▽東西2号線(陽川/ヤンチョン区新月/シヌォル洞~都心~江東/カンドン区、22・3㌔㍍)▽東西3号線(江西/カンソ区~瑞草区~松坡/ソンパ区芳夷/バンイ洞、30・5㌔㍍)の6路線。

 ソウル市はまず、南北3号線に公的資金を投じ、2017年上半期の開通を目指して来年から基本設計に着手する。他の路線は民間投資事業となり、19年の開通を目標に14年以降に着工、開通後は有料道路になる。

 ソウル市は経済性や安全性を考慮し、南北3号線を除く5つの路線を、小型車(15人乗りマイクロバス、3㌧トラック以下)専用道路として建設する。現在の東部幹線道路を地下化する南北3号線のみ、大型車の通行を認めるとしている。

 地下道路網が完成すれば、現在の地上交通量の21%が地下に移る見通し。地上を走る車の平均時速は現行24・2㌔から32・6㌔にスピードアップする。これは、ソウル全域を30分台で移動できるようになる。

 また、ソウル郊外から都心への移動時間も大幅短縮する。仁川国際空港から市庁までは現行80分から42分に、良才~都心までの移動時間は39分から13分に、松坡区蚕室(チャムシル)から上岩洞までは60分から25分に縮まる。

 韓国交通研究院は、地下道路網を進める背景について、「地上には用地がなく、高架道路は都市の景観を害するので、地下道路以外に代案がないため」と説明した。

 欧州の大都市では、乗用車の都心進入を厳格に統制する代わりに、都心循環道路から抜け出た所に大型駐車場を設置し、バスや電車などに乗り換えやすいよう配慮している。ソウル市もこれにならい、都心循環道路に近いソウル駅、奨忠団(ジャンチュンダン)、独立門(トンニンムン)などに大型地下駐車場を設け、運転手が高速エレベーターで地上に出られるようにする。

 地下道路の建設で、地上の主要幹線道路は現行8車線から2車線に「スリム化」する。新たに生まれる空間に、自転車専用道路(492㌔㍍)や、61万5000平方㍍の緑地を造成する。

 ソウル市は地下道路網の建設で、交通混雑や環境汚染を軽減できるので、年間2兆4430億ウォンのコスト削減が期待できると予測している。大気汚染の排出量も15%軽減できると説明している。また、地下道路の安全性確保や大気汚染、火災対策などについても対策を講じていく方針だ。