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2010/11/12

<韓国経済>サムスンとLGDに・中国がLCD工場許可

  • サムスンとLGDに・中国がLCD工場許可

 サムスン電子とLGディスプレー(LGD)の中国内LCD(液晶表示装置)工場建設計画が、中国政府から最終承認を受ける見込みだ。中国政府はこのほど開かれた国務院会議で両社のLCD工場新設を許可することを決定し、近く公式発表すると伝えられている。

 中国政府の高位関係者によると、両社は投資計画書の事前審査で日本と台湾の企業より高い点数を得たという。中国側は透明性確保のために投資計画書の評価結果を点数化し、上位企業に許可を与える方針だ。

 今年初めにサムスン電子は江蘇省蘇州市に、LGディスプレーは広東省広州にLCD工場を建設する内容の投資計画書を中国政府に提出。サムスン電子は蘇州市と約2兆6000億ウォンを投資し、第7・5世代(基盤サイズ1950×2250㍉㍍)工場を建設する計画だ。LGディスプレーは広州市と約4兆7000億ウォンを投資し、第8世代(同2200×2500㍉㍍)工場を建設する。

 両社が中国で工場建設を急いだ背景には、中国のLCDテレビ市場が高い成長性を示していることがある。市場調査会社のディスプレーサーチによると、中国のLCDテレビ市場は今年3900万台で、北米(4100万台)に続く世界2位へと成長している。来年には4400万台となり、世界1位に踊り出る見通しだ。両社のほかに申請書を提出したのは、台湾のAUO(AUオプトロニクス)と日本のシャープなどで、これらの企業は選ばれなかった。

 韓国企業のLCD世界シェアは第2四半期(4~6月)に49・9%を記録、第3四半期(7~9月)は50%台を突破したとみられている。新工場建設で、シェアを60%台に引き上げることも期待できる。

 工場の稼働開始時期は当初の計画より遅れる見通しだ。サムスン電子とLGディスプレーはそれぞれ来年末、2012年に稼働予定だった。しかし、中国政府の許可が当初の予想より7カ月近く遅れ、稼働時期も6カ月以上遅れることになった。

 LCD市況の悪化も考慮すべき要素だ。LCDテレビ市場の主力モデルとして定着している40~42インチパネルの価格が下落したうえ、需要の減少によってほとんどの企業は、第3四半期(10~12月)に減産を余儀なくされた。来年第1四半期(1~3月)の市場反転を期待するものの、北米・欧州市場の需要回復は難しい状況だ。

 業界は日本企業ではなく、韓国企業に対して投資許可を出した点に注目し、LCDのみならず半導体などの先端分野における韓国・中国間の協力強化を注目している。今後、LCDの投資許可が確定すれば、中国企業の協力が先端技術分野へと拡大していく見通しだ。