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2010/11/26

<韓国経済>産業研究院報告書・対中経済過依存を警告

  • 産業研究院報告書・対中経済過依存を警告

 韓国産業経済院(KIET)は「金融危機以降の韓国経済の中国依存度推移と示唆点」と題した報告書をまとめた。同報告書によると、韓国経済の中国市場依存度が2008年の金融危機以降に大幅上昇し、電子、石油化学、非鉄金属など主力産業の「チャイナリスク(中国経済の急激な変動時に受ける打撃)」が高まっている。韓国はこのようなリスクを避けるため、輸出国を広げるなどの対応に備えなければならない。

 08年から今年上半期までのGDP(国内総生産)増加率4・2%のうち、対中輸出の寄与度は2・2%を記録。対中輸出の寄与率が52%に達した。

 総輸出に占める対中輸出の比重も金融危機前に27%だったが、今年上半期に31%へ増加。同期間の対中輸出増加額は総輸出増加額の1・3倍以上となる。一方、中国以外の地域の輸出寄与率は後退した。

 このような対中輸出依存度の急上昇は、中国経済の変動に伴うリスクもそれだけ高まったことを示す。LCD(液晶表示装置)など一部主力業種では中国市場で供給過剰現象が表れ、チャイナリスクが憂慮されている。

 韓国の対中輸出比重は主要国家に比べて大きい。08年第1四半期(1~3月)と比較した今年第1四半期の対中輸出増加率をみても、韓国(19・2%)は米国(17・3%)、ドイツ(11・0%)、日本(6・3%)を大きく上回っている。

 産業別にみると、電子部品の対中輸出比重が08年上半期の42・4%から今年上半期に55・8%へ急増。同期間に精密機械も5%高まり、40%を超えた。一部品目の対中輸出依存度はすでに危険水位を超えた。合成原料(83%)、石油化学中間原料(73%)、ディスプレー製造装備(62%)などは輸出の半分以上を中国に依存している。

 対中輸出の高い依存度により、国内の主要産業が揺らぐ問題も発生している。

 対中輸出比重が55%に増えたLCDの企業は、第3四半期(7~9月)に中国需要の急減のため減産を余儀なくされた。

 石油化学分野については中国企業がポリエチレンなど汎用合成樹脂製品の投資を増やし、過剰な供給が懸念されている。シノペックなど中国の石油化学企業が大規模な増設に乗り出し、現地企業が自ら製品を調達する比率が06年(53・3%)より6・8%高まったためだ。

 対中輸出の増加で好況だった鉄鋼分野も、需要が減少。中国内の鉄鋼生産能力は7億~8億㌧規模に増えたが、内部需要は5億㌧前後だ。そのため、現地工場の稼働率は70~80%に低下した。

 KIETの研究員は、「中国政府は貿易黒字幅の縮小を求める米国などの圧力で、中国政府は今後5年間の経済成長率目標値を大幅に下げ、7%前後と提示した。中国経済のハードランニング(過熱景気の急速な鈍化)の可能性が懸念されている状況で、政府は輸出地域の多角化などの対策を練り、準備すべきだ」と話した。