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2011/07/22

<韓国経済>造船韓国 世界一を奪還

  • 造船韓国 世界一を奪還

    サムスン重工業の巨済造船所

 企画財政部と韓国造船協会によると、韓国の上半期の造船受注量は892万CGT(標準貨物船換算トン数)を記録、造船受注量で世界一を奪還した。中国は517万CGTで2位、日本は46万CGTにとどまった。世界シェア(受注量ベース)は韓国が53・2%で半分以上を占めた。中国は30・8%、日本は2・7%に低下した。

 企画財政部は、韓国造船業界の受注量1位について、ドリルシップ(海洋掘削船)、FPSO(浮体式石油生産・貯蔵・積出設備)、大型コンテナ船、LNG(液化天然ガス)運搬船などの高付加価値船舶の受注が好調だったためと説明した。

 造船受注を金額ベースでみると、トン数以上に韓国と中国の差は大きい。韓国は314億㌦に達し、中国(88億㌦)の3倍以上だ。これは韓国が高付加価値船舶の受注が多いのに比べ、中国はまだ低価格船舶中心だからだ。

 中国は08年に初めて韓国の受注量を上回り、昨年には1824万CGT(シェア48・0%)を記録、韓国の1265万CGT(33・3%)に大差をつけた。日本のシェアは07年の14・9%から昨年は6・3%へと落ち込んだ。

 いま、世界の造船市況は低迷著しい。全世界の船舶発注量は07年の9350万CGTをピークに減少し、昨年は3800万CGTに急減。今年も上半期で1677万CGTにとどまっている。世界600カ所の造船所のうち、上半期に船舶を1隻でも受注できた造船所はわずか123カ所(20・5%)にすぎない。

 こうした現状であるだけに、韓国造船業界の底力を実感させる。現代重工業、サムスン重工業、大宇造船海洋など韓国の造船メーカーの受注増大は、低価格船舶に強い中国との競争を避け、高付加価値分野に集中したことがあげられる。中国は汎用設計図を利用し、低賃金の労働者を投入して建造したバルク船(ばら積み貨物船)や8000TEU(20フィート標準コンテナ換算)以下のコンテナ貨物船に強い。

 これに対し、韓国造船業界はドリルシップなどの海洋プラント、大型コンテナ船、LNG運搬船建造に集中。世界でドリルシップ21隻、LNGFPSO2隻、海上LNG供給基地であるLNG―FSRU2隻を受注した。

 また、8000TEU以上の大型コンテナ船69隻を受注した。これは全世界の大型コンテナ船発注量の約75%に当たる。韓国はLNGタンカー19隻を受注したが、韓国以外の造船所が受注したのは、中国の滬東中華造船(4隻)と日本の三菱重工業(1隻)だけだ。ただ、中国の造船所は今後、海洋プラントの建造経験を積み、韓国の技術水準に追いつく可能性がある。