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2011/08/26

<韓国経済>大企業グループ・相次ぎ「非常経営モード」

  • 大企業グループ・相次ぎ「非常経営モード」

                 サムスンの本社ビル群

 大企業グループが相次いで「非常経営体制」モードに入っている。欧米発の世界財政危機が今後実体経済に大きな影響を及ぼすと判断、対応に乗り出した。サムスングループの主力企業サムスン電子は、今年の利益パターンを「上低下高」と予想したが、下半期(7―12月)も反騰は難しいと見て対応を急いでいる。IT(情報技術)市況悪化、グーグルなどグローバルIT企業の新たな動きによって経営環境が激変しているIT業界への打撃は大きいからだ。サムスンが非常経営体制に入れば、グローバル金融危機以来2年ぶりとなる。

 サムスンは、非常経営の時期と実施方法を検討中という。関係者によると、「人件費と材料費の節減を直ちに適用することはないが、経費削減は有力だ」と述べた。サムスンは来月中に第3四半期(7~9月)実績の仮決算を出し、非常経営の実施有無を決める。

 サムスン電子は、第3四半期DRAM出荷量増加率(前四半期比)を2ケタから1ケタに下方調整した。DRAM需要萎縮に供給量調節で対応し、価格反騰を図っている。サムスン電子は第2四半期(4~6月)に3兆7500億ウォンの営業利益を記録したが、第3四半期は3兆2000億ウォン程度となる見通しだ。DRAM及びLCD(液晶ディスプレー)市況悪化に加え、アップル、グーグル、HPなどグローバルIT企業が大きな動きをみせている点、グローバル財政危機を勘案すると、李健熙(イ・ゴニ)・サムスン会長が非常経営を指示する可能性は高いとされる。

 LG電子、LGディスプレイ、LGイノテックなど電子系列社を主力とするLGグループも、非常経営モードに突入している。最近、LGディスプレイは中国・広州に建設予定だった第8世代LCD生産工場の着工を延期し、投資規模を1兆ウォン減らした。LGグループは今年の投資目標を21兆ウォンとしたが、20兆ウォンへ下方調整したということだ。LG電子は物流の効率化や在庫管理など原価節減に努め、LGイノテックも役員会議で経費削減を呼びかけた。

 業績好調の現代自動車グループも、世界経済の動向及び現代・起亜自のグローバル生産ラインをリアルタイムで把握するグローバル総合状況室の報告体系強化に乗り出した。系列社CEO(最高経営責任者)を含めた主要役員の週末出勤とともに、24時間非常待機体制が敷かれた。主力市場である米国及び欧州で財政危機が起こったことを深刻に受け止めている。現代・起亜自は今年、米国でシェア9%を達成し、年間100万台販売が予想していたが、先行き不透明になってきた。

 海外発の経済危機が加速する場合、現代自グループの手段は減産だ。だが、減産は労組側との問題もあり、協力会社への波及効果も大きい。そのため、直ちに減産措置をとるのは容易でない。

 SKグループも最近、非常経営体制に入った。同グループの場合、製油と通信事業への依存度が高く、他の新事業もいち早く展開すべきとの声が高まっている。そのため、SK経営経済研究所で作成した経営状況及びグローバル環境に対する報告書を全役員に配布。SK関係者は「ハイニックス買収については事業多角化のために引き続き推進するが、既存事業や不振な事業に対する再評価を進めるだろう」と話した。

 ポスコも非常経営体制に入り、鉄鋼生産量を調節している。浦項(ポハン)・光陽(クァンヤン)製鉄所で予定された設備の改補修作業を繰り上げ、今後の需要増加に備えるためだ。また、工程改善を通じて、今年は過去最大の原価節減を実施する。

 現代重工業は、今回の危機をむしろ事業多角化のチャンスと捉えている。米国で建設中の変圧器工場の完工時期を操り上げるなど、非造船事業の力量強化に乗り出している。アラバマ州の同工場が今年12月に完工すれば、現代重工業は蔚山(ウルサン)工場、ブルガリア工場などとともにグローバル変圧器生産体制を構築することになる。現代重工業は非造船事業の設備投資を一日も早く終え、造船業に偏重した事業構造を多角化する方針だ。