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2011/11/04

<韓国経済>世界経済沈滞の中・サムスン電子の健闘光る

  • 世界経済沈滞の中・サムスン電子の健闘光る

    サムスン電子の業績に貢献した大ヒット商品のスマートフォン「ギャラクシーS2」

 主要企業が第3四半期(7―9月)の業績を発表しているが、世界的な景気沈滞を反映し、多くの企業で業績が悪化している。その中でサムスン電子と現代自動車の健闘が際立っている。サムスン電子は、スマートフォン(高機能携帯電話)の販売好調で4兆ウォン台の営業黒字を維持し、現代自は積極的な販売戦略が奏功し、増収増益を記録、今年は過去最高の業績が見込まれる。

 金融情報企業のエフアンドガイドによると、これまでに業績を発表した約90社中、過半数が第2四半期(4~6月)より営業利益が減少した。特に、鉄鋼、造船、金融業種の低迷が目立った。

 大韓航空の純損失は5243億ウォンに達し、現代重工業は営業利益が36%減少した。現代製鉄も急激なウォン安による為替差損で1271億ウォンの純損失を記録した。このほか、造船業界も赤字観測が有力だ。

 IT業種(情報技術)も例外ではない。LG電子、ハイニックス半導体が赤字転落し、LGディスプレイの赤字幅は拡大した。LG電子はスマートフォン販売不振のため、営業赤字が319億㌦を記録。LGディスプレイの赤字は4291億ウォンと過去最高だった。

 ハイニックス半導体の売上高は前年同期比30%減の2兆2910億ウォン、営業赤字は2770億ウォンにのぼった。09年第2四半期以来の赤字転落だ。パソコンに組み込まれるメモリー半導体のDRAMの平均販売価格が29%も下落したのが響いた。同社関係者は赤字転落について、「急激な半導体価格の下落のなかでは良好な実績」と分析した。

 サムスン電子も、厳しい業績が予想されたが、赤字幅を最小限に抑え、売上高を増やした。同社が発表した第3四半期連結決算は、売上高が前年同期比2・6%増の41兆2700億ウォン、営業利益が12・6%減の4兆2500億ウォンを記録した。営業利益率は10・3%。

 世界的な景気低迷でパソコンやテレビなどIT・家電製品市場が落ち込み、部品となる半導体、液晶パネル価格が原価を下回り、スマートフォン、タブレット端末の競争が激化しているだけに、好業績をあげたと評価されている。

 部門別にみると、通信部門はスマートフォンと携帯電話の販売台数が前期比20%以上増え、売上高14兆9000億ウォン、営業利益2兆5200億ウォンを上げ、半導体部門の営業利益を初めて上回った。とりわけ、スマートフォンは「ギャラクシーS2」の本格的な世界販売と、普及型モデルの販売拡大で、前年同期比300%の大幅増となった。

 サムスン電子は第3四半期の携帯電話販売台数を明らかにしなかったが、「前期比20%余台の成長率」としており、約9000万台と推定される。スマートフォン販売台数は40%以上増えたと発表しているので、約2700万台に達したことになる。同社は第2四半期からライバル企業との関係などを考慮し、正確な販売台数を明らかにしていない。

 半導体部門はDRAM価格が低迷しているなかで、システムLSI(大規模集積回路)などの好調で、売上高9兆4800億ウォン、営業利益1兆5900億ウォンを記録。液晶パネル部門は需要が予想を下回った影響で売上高が7兆800億ウォンにとどまり、900億ウォンの営業赤字となった。テレビ、冷蔵庫、洗濯機など生活家電を含むデジタルメディア&アプライアンス部門は売上高14兆3600億ウォン、営業利益2400億ウォンを記録した。

 年初から快走している自動車業界は、第3四半期の業績も絶好調だ。今年過去最高の業績を見込んでいる現代自動車は、連結で売上高が前年同期比14・5%増の18兆9540億ウォン、営業利益が18・9%増の1兆9948億ウォンの増収増益を達成。販売台数は99万1706台と9・6%増えた。今年から会計基準が変わって過去と直接比較するのは難しいが、事実上、過去最大の業績だった今年第2四半期に次ぐ好業績だ。

 これで、現代自は、今年1~9月に294万9914台の自動車を販売し、売上高57兆2789億ウォン、営業利益5兆9490億ウォンの業績を上げた。同社の李元熙(イ・ウォニ)副社長は「今年は400万台以上を販売し、目標を超過達成できそうだ」と述べた。年初の販売目標は390万台だった。

 起亜自動車も売上高が14・9%増の9兆9900億ウォン、営業利益が21・9%増の8276億ウォンの増収増益を達成した。

 世界市場での販売台数は、「モーニング」「K5」「スポーテージR」など主力車種の新モデルの発売やブランドイメージの向上などで、19・3%増の61万1898台を記録。1~9月の販売台数は前年同期比23・4%増の185万3250台となった。

 エネルギー企業のSKイノベーションの業績も好調だった。売上高は前年同期比27・4%増の17兆2096億ウォンで、当期純利益は同538・1%増の1兆8161億ウォンに達した。