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2011/12/09

<韓国経済>韓国鉱物資源公社・南アでレアアース開発権

  • 韓国鉱物資源公社・南アでレアアース開発権

    契約書に署名後、フロンティア・レアアース社のジェームズ・ケニー社長と握手する金信鍾・韓国鉱物資源公社社長(左)

 韓国鉱物資源公社が、国内で初めてレアアース(希土類)鉱山の開発権を確保した。同公社は4日、南アフリカ共和国の首都ヨハネスブルクで、フロンティア・レアアース社と同国西部ノーザンケープ州にあるザンドコプスドリフトのレアアース鉱山開発プロジェクトの10%の権益を取得する契約を結んだ。追加で最大30%まで持ち分を増やせるオプション付きだ。これで、韓国は生産が始まる2016年から最大で年間6000㌧のレアアースを確保したことになる。

 この鉱山には、3900万㌧のレアアースが埋蔵されていると推定されている。現在探査中だが、計画では2016年から年間2万㌧を生産する予定だ。鉱物資源公社側は今回のプロジェクトの持ち分を30%まで拡大できるので、年間6000㌧を事実上確保したことになる。これは韓国の年間レアアース需要量の2倍に相当する。

 株式の取得価格は、交渉を経て来月に決まる予定だが、30%取得で2500万~6000万㌦になる見込み。

 これまで韓国は、中国と内モンゴルでレアアース素材化事業を推進したことはあるが、海外で直接鉱山の開発に乗り出すのは今回が初めて。

 この開発プロジェクトには、サムスン物産、現代自動車、GSカルテックス、大宇造船海洋E&R、亜州産業の国内5社もコンソーシアムの形で参加する。鉱物資源公社とこれら5社はMOU(了解覚書)を締結した。これらの企業にとって、世界のレアアース生産をほぼ独占している中国の動きに振り回されることなく、先端産業に必要なレアアースを確保できるメリットがある。

 ちなみに、11月現在のレアアース価格は、1㌧当たり12万3000㌦。この2年間で10倍以上にハネ上がっている。

 金信鍾(キム・シンジョン)・韓国鉱物資源公社社長は「レアアースのような希少鉱物は、需給が崩れた瞬間、価格が予想できないほど暴騰する」とし、「価格も問題だが、核心鉱物資源の対外依存が解決されない限り、主要輸出品の生産中断という最悪の事態がないとは言い切れない」と語った。それだけ、今回の海外レアアース開発権獲得の意義は大きい。


◆レアアース(希土類元素)とは

 「産業のビタミン」とも呼ばれる希少金属で、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ルテチウムなど17元素の総称。ほんのわずか添付するだけで、材料の特性を変えることができたりする先端材料の栄養剤のようなもので、自動車、家電製品、携帯電話、パソコン、カメラなどの製造に欠かせない。