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2013/03/15

<韓国経済>電気自動車バッテリー・フォルクスワーゲンに供給

  • 電気自動車バッテリー・フォルクスワーゲンに供給

               サムスンSDIのバッテリー製造

 サムスンSDIが、電気自動車用バッテリーをフォルクスワーゲンに供給する契約を結んだ。フォルクスワーゲンは電気自動車開発に力を入れており、数年前からサムスンSDIのバッテリーをサンプル使用し、適正性を点検してきた。サムスンSDIは、今回の契約で大量の供給先を確保し、自動車用バッテリー業界トップ争いの先陣を切った。

 サムスンSDIは、これにより蔚山(ウルサン)工場の電気自動車バッテリー生産ラインを大々的に増設する作業に着手した。昨年まで年間5万個規模の生産ラインを今年上半期(1~6月)中に8倍の40万個規模に拡大する。フォルクスワーゲン以外にBMW、クライスラーなどのメーカーの大型納品以来に対応するためだ。

 サムスンSDIは、2009年8月にBMWの電気自動車バッテリー供給者に選定された。BMWが今年から量産する電気自動車「i3」とプラグインハイブリッドの「i8」用のバッテリーを本格的納品することになっている。

 二次電池市場で世界トップのサムスンSDIは、電気自動車用バッテリー開発にも力を入れてきた。昨年5月に朴商鎭(パク・サンジン)社長が李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長に同行し、ドイツでフォルクスワーゲンのマルティン・ヴィンターコルンCEO(最高経営責任者)と会談し、自動車バッテリー供給問題を協議した。

 08年にドイツのボッシュと50対50の合弁で電気自動車用バッテリー事業を開始したが、昨年に決別し、単独事業体制に転換した。今回の供給契約で売上の急増が見込め、同事業の成長の基盤を作った。

 当初、フォルクルワーゲンは2011年にバッテリー供給メーカーを選定すると見られていたが、電気自動車市場が予想外に不振で慎重になった。業界関係者は「安全性が電気自動車の生命線なので、相当に長い期間安全性テストを行った。バッテリー供給メーカーが決まってから2~3年後に大量供給が本格化する事例が多い」と語った。

 このような流れを考慮すると、サムスンがフォルクスワーゲンに本格供給するのは来年以降になる公算が強い。ちなみに、フォルクスワーゲンは今年から「ゴルフ」の電気自動車バージョンを量産化するとともに、小型車「UP」の電気自動車モデルも出荷する計画だ。

 サムスンSDIは、欧州、中国、米国の3地域にも生産拠点を構築し、国内外の生産能力を月間280万個に拡大する計画も立てている。現在充電1回で160㌔走れるが、300㌔を走行できるバッテリー開発にも力を入れている。

 電気自動車の市場は、今年の97万台から2020年には541万台に増える見通しだ。